内容説明
古代インドの歴史と思想潮流の中に仏教は生まれた。その教義は仏教思想の中核をなしつつ、初期仏教(原始仏教)、部派仏教、大乗仏教と展開し、チベット、東南アジア、中国、日本へと広がってゆく――。仏教思想の源流であるインド仏教を歴史にそって追い、その基本思想と重要概念、諸思想の変遷を精緻に読み解く、斯界の碩学によるインド仏教思想入門。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mstr_kk
6
仏教の「縁起」と「空」の概念について知りたかったので、そういったところを中心に読みました。「縁起→無自性→空」という概念連関をつくったのはナーガールジュナだったと。たいへんよくわかりました。仕事のために読んだのですが、仏教思想は哲学として非常に面白そうだと思い、興味が増しました。またじっくり読みたいと思っています。2017/05/25
大道寺
5
この手の本をもう何冊も読んでるので目新しいことはなかったが、入門書として良いと思う。2016/01/16
shishi
5
[A-]インド仏教思想史をコンパクトに概観できる良書。具体的にはゴータマ・ブッダ前後の初期仏教、ブッダ入滅後の部派仏教、そして大乗仏教という大きな区分けと各時代の雰囲気と思想が概略的に説明される。項目の羅列が続く事典的な個所もあったけど、そういうところは読み飛ばして思想の説明のところをしっかり読むと楽しめる。ナーガールジュナの『中論』、「縁起―無自性―空」の思想などの説明は面白かった。2014/01/06
maqiso
1
ブッダは形而上学的な論争を否定し現実の苦楽を避け慈悲を起こすように説いた。ブッダ入滅後に教団が大きくなると上座部と大衆部に分裂し、さらに部派に別れた。各部派は認識・因果・煩悩などを体系だてて論じたが、民衆的な運動から大乗仏教が生まれた。大乗仏教では在家が尊重され、如来蔵の思想が生まれた。大乗仏教の理論が発達すると、呪術思想を取り入れた現世的な密教が起こったが、インドではやがて仏教が消滅した。理論的解説が多くて難しい。2021/06/12
yagian
1
この本は、どこまでが筆者の解釈なのかわかりにくいことが難点だと思う。さて、本書の内容からやや離れて、私自身の仏教への思いを書こうと思う。私は、初期仏教、ブッダ自身の教えに共感している。その観点から見ると、その後の仏教の展開によって、教義は一方で精緻化し、一方で大衆化し、結局ブッダの精神からどんどん遠ざかっているように思う。日本に伝わり、変遷した「仏教」は、もはや「ブッダの教え」から大きく隔たっており、「仏教」の名に値するか疑問を感じている。2015/12/25
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