内容説明
歌舞伎の女たちを鋭く楽しく読み解く一冊
忠義のために我が子を差し出す女、初めての男が忘れられず、姫から遊女に身を落とす女、嫉妬する女、罪な女、だめんず好きの女…歌舞伎に登場する女性たちには時を越えた共感と驚きがある。今昔の女性を見続けてきた著者の“目からウロコ”の分析が冴え渡り、歌舞伎が身近に感じられる楽しい一冊。市村萬次郎氏との対談を特別収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
雛子
16
女形好きな私としては、この本が文庫化されていたことにいままで気づかなかったことにびっくり。私は歌舞伎にそんなに詳しくないけれど、あらすじなども簡単に紹介してくれるので読みやすいエッセイ。男性は男性らしく、女性は女性らしく。義理や人情を大切に。歌舞伎を観るにはいまの価値観とは違ったものが必要なのかも。女形って美しいよね。2018/03/12
getsuki
11
歌舞伎に登場する女性たちはどんなキャラクターなのか?を実際のストーリーを追いつつ紹介する一冊。「だめんず好き」「追う女」「嫉妬する女」などちょっと笑える見出しが並ぶが、当時の倫理観や価値観に翻弄される女性の生き様は憐れと感じてしまう。作者の現代的な感想に共感必至。戯作者のほとんどが男性だからなぁと思うと、いつの時代も男の好みは変わらないということか。2017/02/15
ひやしなむる
8
歌舞伎。一度観てみたいんだよなぁ、と思い本書を手に取る。時代が変われば、世の中のいいとされること、美しいとされること、正しいとされることは変わる。だから、私が観てもあんまり感情移入はできないのかもなと思った。しかし歌舞伎を観てみたい気持ちは変わらず。今度は「シロウト歌舞伎ガイド」みたいな本(チケットの買い方から当日の服装持ち物から観劇中の見るポイントまで全部網羅してあるようなやつ)書いてくれないかな、酒井さん。2017/06/29
K K
8
抱腹絶倒!爽快で大変楽しめました。海老蔵の座頭市を見に行く前日に発売開始。すぐ店舗で入手しましたが、酒井順子さんは初めて。嫉妬する女、だめんず好き、エロスの権化と化した女、惚れた相手のために身をやつし身を落とす女、女じゃなかった女。なんともチャーミングな女たち。あまりにグロテスクだがそれゆえ耽美で歌舞伎を美しく彩るには不可避な女たち。歌舞伎をまた見たくなる。これを全て男が演じているというから驚き、特に男が演じる、女じゃなかった女じゃは見てみたい。歌舞伎に興味ない方も是非。2017/02/13
びっぐすとん
7
「カブキブ!」から歌舞伎繋がり。歌舞伎のヒロインを女性の視点で酒井さんらしく切り込んでいく。江戸時代は女子供の人権が無視されがちとはいえ、これは男の妄想の産物だよな。お姫様や遊女など高嶺の花への歪んだ憧れも同じ。昼ドラも真っ青の波乱の展開とヒロインの悲劇性、現代から見るとやり過ぎだけど、娯楽の少ない当時はこれくらい過激な方が良かったのかな。実際の女性はもっとしたたかで、必ずしも男性の思うようには行動しなかっただろうけど。ヒロイン=100%不幸の図式が「何だかな~」だけど、こういう視点で歌舞伎を観てみたい。2017/03/09
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