内容説明
リオのカルナヴァル(謝肉祭)最後の夜、暗殺者の俺は、組織の裏切り者を狙ってビルの高層階に待機した。奴はリオの非合法地域に潜伏中だったが、この日はどの住民もサンバの踊り手として山車の上に乗らなければならない。俺は今、狙撃の瞬間を静かに待っている。(「カルナヴァル戦記」)他6篇を収めた珠玉の短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
97
1980年代のブラジルを舞台にした短編集。日本を飛び出し、あるいは追われてブラジルに流れ着いた無国籍状態に近い男たち。ある者は裏の組織の殺し屋に、またある者は一獲千金を狙う山師に。人種のるつぼ、サンバとカーニバルの国ブラジル。短編ではあるがどれも皆、ムッとする様な熱気と血と硝煙の匂いがするガツンとくる作品。船戸与一はやはり面白い。★★★★2019/01/12
drago @名人戦堪能中。
22
著者がブラジルを1年ほど彷徨した時に出会った日本人をモチーフに描かれた短編6本。 ■いずれも、主人公の「おれ」が危うい仕事に首を突っ込みながら、辛うじて生き延びる展開が私好み。 ■最終話『アマゾン仙次』の結末、ピラニアが躍動する場面。それまでの物語を全て忘れさせてしまうほど強烈かつ衝撃的。 ☆☆☆★2017/04/05
ぼぶたろう
12
ブラジルを舞台にしたハードボイルド短編集。物語はフィクション、背景はノンフィクションという船戸さんのポリシーを意識するとより味わい深くなる。まるで南米の映画を観ているようです。最終話アマゾン仙次が1番好きでした。ブラジルの熱気、アマゾンの豪雨が伝わってきます。この国では生が強い。刹那的で直線的。各話、哲学を感じる。2018/04/24
浦
11
南米が舞台の短編集。このあとの様々な作品のもとがよめる。一つ一つ後の長編より良いくらい。しかし、特に最後の作品は、暗い。2020/05/12
おくちゃん
10
超久々に船戸与一を読みました。殺戮の描写が相変わらず多いですが、乾いた文章で読み進めることができますね。1級のハードボイルドです。また、船戸与一の作品を読み返そうとおもいます。2024/08/31