講談社文芸文庫<br> 黄金の時刻の滴り

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講談社文芸文庫
黄金の時刻の滴り

  • 著者名:辻邦生【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 講談社(2017/02発売)
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  • ISBN:9784062903431

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内容説明

夢中で読んできた小説家や詩人の生きた時に分け入り、その一人一人の心を創作へと突き動かし、ときに重苦しい沈黙を余儀なくさせてきた思いの根源に迫る十二の物語。それは「黄金の時刻」である現在を生きる喜びを喚起し、あるいは冥府へと下降していく作家の姿を描き出す。永遠の美の探求者が研き上げた典雅な文体で紡ぎ出す、瑞々しい詩情のほとばしる傑作小説集。

目次

聖なる放蕩者の家で
永遠の猟人
丘の上の家
黄昏の門を過ぎて
小さな食卓で書かれた手紙
黄金の時刻の滴り
青空の彼方へ
わが草原の香り
竪琴を忘れた場所
花々の流れる河
オリガの春
野分のあと
あとがき
解説  中条省平
年譜  井上明久
著書目録  井上明久

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

65
スタンダールなど作者が親しんだ小説家たちに、小説の形で創作の秘密を聞いたりする短編集。この試みは確かに自問自答なのですが、だからこそ作者が彼らから受け取ったものが明確になっているように思います。何のために書くのか? 作家たちは語る。「いま在る」ことの幸福と歓喜を伝えるために、全ての善きもの美しいものを示すために。そしてそのためには「純なもの」だけでなく、不条理で滑稽な生を、愛が作り出す「地獄」をこそ生きねばならぬのだということを。「情欲の流れを天上へ運ぶ」典雅な辻邦生の世界の秘密を垣間見るような本でした。2020/11/20

拓也 ◆mOrYeBoQbw

24
短篇集。12人の巨匠作家をテーマに、語り手が作中で個々の創作の秘訣を聞き出す、と言う形式で語られる12の短篇です。いわばコルタサルの傑作『追い求める男』を12篇全てでやっているイメージになりますね。面白いのはメインの12人以外にも、それぞれの短篇にラヴクラフト、コルタサル、ヘンリー・ジェイムズ、ポーなどの有名短篇の手法を流用している点で、時には”隠れた作家”の名前も登場する12+12=24人の短篇になっていると私は感じました。ビブリオマニアで小説の創作術の本も出してる辻氏らしい名短篇集ですね(・ω・)ノシ2018/09/03

風に吹かれて

14
トーマス・マン、ヘミングウェイ、モーム、カフカなどの文豪の創作の秘密を小説の手法によって解題したような12の短編が収められている。辻邦生自身がリスペクトしている文豪たちの人生の、つまり死をも含めた生の『時刻(とき)』を鮮やかに現出させる。長編『西行花伝』を読んだ後だけになおのこと一行一行の文章の積み重ねがミステリーを解き明かしていくかのような結構の短編にため息が出る。辻邦生は長編も短編も小説の秘密を知り尽くしているに違いない。2018/05/08

のん

13
12人の文豪と作家のファン等との関わりを物語にしている短編集。友達のお勧め本。しっかり読ませる本。すごい!2018/09/29

けろ

3
「わが草原の香り」。チェーホフに物語はいかに書かれるか「創作の秘密」を聞き出す。内容、口調がいかにもチェーホフ。笑い・喜び・恐怖は大きな視点でみればどれも魂を揺さぶり、悲しみさえも精神活動に身を捧げることができ、二度と味わうことのできない素晴らしい機会なのだと伝えている。「辛くても何でも、誰かが光になろうとしなかったら闇はますます深くなるわ。でも一つだけ光があれば、まだそこだけは闇ではないの。人間とは光のことなのよ」ロシア文学的言い回しである。チェーホフは人間が好きだったのだと改めて感じ取れた。2019/07/01

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