内容説明
「父が入院している病院の階段をのぼるときいつも逃げ出したかった。死にゆこうとしている父に会うのがこわかった」。父の脚をさすれば一瞬温かくなった感触、ぼけた母が最後まで孫と話したがったこと。老いや死に向かう流れの中にも笑顔と喜びがあった。愛する父母との最後を過ごした“すばらしい日々”が胸に迫る。発見と癒しに満ちたエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
269
1ページのなかに字がすこししかなくて、ひらがながおおくて、やさしいかんじのするエッセイ集。生きるってかっこいいことばかりじゃない。だからこそ、できるだけハッピーにすごしたい。しゃしんもすてきでした。2017/08/08
ふう
97
生きていくことがつらい、と思う日があります。きっと誰にも。病気、老い、身近な人の死…。人は悩み、傷つき、心がかたくなになってしまいがちです。でも、そんなつらい中でも少しだけ顔を上げると、誰かのやさしさや温かさが木洩れ日のように心に入りこんできます。ささやかでも、それだけでわたしたちの暮らしは「すばらしい日々」。体中で生きる子犬も、最後まで病と闘った父親も、家族も友だちも、そして自分も愛おしいと思えるすばらしい日々です。2018/06/19
*すずらん*
97
ばななさんの感性が、瑞々しいといわれる所以が分かった気がする。彼女は覚悟が決まっているのだ。悲しい事を見つめ心に留めることができる。だから綺麗に流すことができる。熱帯魚の水槽に取り付けられるろ過器と同じだ。常に循環されている。水は濁ることなく清潔だ。私達は苦しい事から目を背ける。傷付かない為に流してしまう。だから繰り返す。覚悟が決まっていないから 苦しい事が起きる度にダメージを受ける。積もり積もったダメージは、私達を生き辛くする。そんな時にばななさんの作品に出会うと、私達はやっと息継ぎすることが出来るのだ2017/02/14
アクビちゃん@新潮部😻
63
東日本大震災の事、父母との最後の「すばらしい日々」などのエッセイ集です。この本を読んでるいる間、夕焼けの中をお散歩している様な気分でした。よしもとばななさんの文章は、いつも私を心地よい風景に連れ出してくれます♪ 私も父を見送った後に、みなしごハッチの様な気分になった事を思い出し、せつない気持ちになったけれども、嫌な気持ちでなく懐かしかったりするのです。エッセイの間の写真もステキです✨2019/05/31
てんちゃん
33
読み友さんにいただいた本でしたが、「ほぅ…」とため息が出るくらい、美しくてやさしい本でした。生と死が交差するこの世界の美しさをよしもとさんの温かさで紡ぎだしたようなエッセイ。小説で垣間見れるよしもとさんの世界観を凝縮したようなエッセイです。各所に挟まれた写真も、よしもとさんが込めた思いのままに、この世界の確かさや美しさをキラキラと映しだしています。このように素敵な本を頂くことができた幸せ。自分で買った以上の嬉しさがあります。本をくださった読み友、こーいち先輩に感謝(^^)2018/05/20
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