内容説明
略奪婚をした専業主婦の満里子、女性誌編集者の悠希、不妊治療を始めた仁美、人気翻訳家の理央。元同級生達は再会を機にそれぞれの悩みに向き合うことになる。前妻への罪悪感、要領のいい後輩への嫉妬、妊娠できない焦り、好奇の目に晒される戸惑い――。華やかな外見に隠された女性同士の痛すぎる友情と葛藤、そしてその先をリアルに描く衝撃作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
173
かつて高校時代を過ごした元同級生四人が偶然に再会を果たした先に、そんな四人がお互いの人生に大切な存在として関わり合いをもっていく姿が描かれるこの作品。そこには、一見順風満帆と見える人生の裏側にそれぞれに悩み苦しみながら生きていく『女の子』の姿がありました。そんな『女の子』という表現が結末を読んでストンと心に入ってくるのを感じるこの作品。『男の子』よりも『女の子』にこそ是非読んでいただきたいこの作品。四人の女性たちの心の内を極めて細やかに紡ぎ出す表現の頻出に、飛鳥井千砂さんの上手さを見る傑作だと思いました。2024/01/14
みっこ
77
32歳、子無し既婚女性4人のお話。自分と年齢が同じで、親近感を持ちながら読みました。私も不妊治療をしていたので、仁美のパートは胸が痛む。でも共感はあまりできず。治療中に妊娠報告のためのパーティーを開かれ、おめでとうと言えなかったことを夫に責められ、治療の休止まで提案され…私なら絶望するわ( ;∀;)受け入れた仁美すごいなー。そこまでできた人にはなれなかった。真也の『誰でもどうしても手に入らないものがあって、それはみんな平等』みたいな言葉が良かった。それぞれ悩みがあるとわかっていても、隣の芝生は青いもの。2018/04/22
佐島楓
67
30代前半の女性四人の物語。どんな状況にあっても、傍から見て満たされているように思われても、この年代になると女性はいろいろ抱えてしまう。仕事も、肉体的な老化の兆候も。小さく、ときに大きく傷を受けながら、前に進んでいく女性たちへのエールのような小説。2017/02/13
エドワード
66
にわかによく聞く<女子力>って何?高齢化社会らしく、33歳でも立派な女の子だ。久々に集まる高校時代の同級生4人。真ん中の2編が濃い。出版社勤務の悠希の物語、女の子は誰でも王子様を待っているのか?読者モニターが痛すぎる。彼女たちを女性誌で<女子力高し>と持ち上げるから、個性的に生きる女性が生き辛いのだよ。うどんを<男らしい>と言う副編集長も何だかなあ。劣等感に悩む仁美の葛藤、結婚、出産、ダンナ、得てして比べてしまう。人生は勝った負けたじゃないよ。幸福の形はみんなちがってみんないいのだ。夫君がみんな優しいね。2017/03/12
よしのひ
59
「最近読んでなかったな…」と思い再読。分かっている安心感に加え、新たな発見も。やはり1度読んだ作品でも、歳を重ねたり環境が変わったりすると、ストンと落ちる箇所も変わってくるんだなと改めて。30代前半で偶然高校の同級生と再会を果たした女性4人の短編連作集。自分と他の3人を比較してしまうことでおきる葛藤、一見羨ましくみえるが、実は本人の悩みになんてところがリアルに描かれている。また、それぞれの人物の小さな変化を自然に表現され、違和感なく日常に溶け込んでいる世界観を創れるところが飛鳥井千砂さんの好きなところだ。2021/12/31
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