岩波新書<br> ルポ貧困女子

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岩波新書
ルポ貧困女子

  • 著者名:飯島裕子
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2017/02発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004316213

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内容説明

若年層が抱える困難,未だにILOの勧告をたびたび受ける日本の男女格差.その両方を抱えながら,働くことも,結婚して子どもを産み育てることも期待されているのが,いまのアラフォー/非正規/シングルの女性たち.「一億総活躍社会」の掛け声の陰で,ひっそりと困難を抱えて生き抜こうともがく女性たちの等身大の姿に迫る.

目次

目  次

 序章 女性の貧困とは?
   貧困女子の登場!?/男性非正規インパクトの陰で/つかみにくい女性の貧困/貧困にすらなれない女性/男性稼ぎ主モデル/女性活躍推進と若年女性/インタビュー概要
 1章 家族という危ういセーフティネット
   実家でしか暮らせない/パラサイト・シングルの凋落/実家は針のむしろ/暴力から逃げ出して/街を彷徨うホームレス女子/家庭に居場所がない/関係性の貧困/同棲の落とし穴
 2章 家事手伝いに潜む闇
   中退を引き金に接点を失う/ニート・ひきこもりは男性ばかり!?/家族も無関心/父の死で暗転/就労以前からの困難/ガールズ講座/さいたまでの取り組み
 3章 正社員でも厳しい
   倒れるまで働く女性たち/新人を使い潰すブラック企業/滑り台で一直線に/家賃を払うためデリヘルへ/増加する精神障害とイジメ/余裕のない職場で/障害者枠で働く/正社員にはなったけれど
 4章 非正規という負の連鎖
   学歴と非正規雇用率/高卒女性の困難/中退はさらに厳しい/高学歴ワーキングプア/官製ワーキングプア/果てしない求職活動/繋がる場をつくる/突然の病気と非正規シングル/非正規雇用の闇
 5章 結婚・出産プレッシャー
   子どもが欲しい/ 「おひとりさま」の登場/ 「負け犬」にすらなれない/無縁社会、震災、絆/一億総活躍社会の目指す“子育て支援”/優等生でなかった妹が今は女として上/全方位的少子化対策/無理にでも産んでおけば良かった/非正規は婚活でも不利に/貧困女子でも産む/極端に低い婚外子出生率/少子化という大義名分
 6章 女性の分断
   キャリア、夫、子ども、何もない/分断の一九八五年/一般職削減がもたらしたもの/女性活躍推進の光と影/産みかつ働き続ける女性たち/募る孤立感/存在しないもの/上方へ押し上げる圧力/頻発するメンタル系トラブル/分断を超えて繋がるには
 終章 一筋の光を求めて
    「プア充」に潜む罠/貧困とは何か?/労働への包摂と脱労働/家族による包摂と脱家族/ 「男性稼ぎ主モデル」の崩壊と意識のズレ/貧困女子を超えて
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

122
「単身女性の3人に1人が貧困に瀕している」という事実にフォーカスを当てた本を書き上げてくれた作者と出版社に感謝を。私も家を出たかったのに、結果は26歳でパートの実家暮らしなので全然、他人事じゃない。インタヴューを受けた女性たちはただ、自分の力で幸せに生きたいだけだ。なのに家庭に居場所がなかったり、職場ではパワハラ被害を受けていたり、その結果、精神的に参ったりするという踏んだり蹴ったりな状態だ。そして司書や学芸員が「官製ワーキングプア」に位置づけられているのは、民間の介入やパート募集が多い事実を知ると納得。2018/12/08

夜間飛行

116
この問題には様々な側面があるようだ。正規非正規による差別は男とほぼ同じ。親との同居については男ほど批判されないが、その分結婚や出産を巡るプレッシャーがきつい。シングルマザーへの逆風も制度上に残存している。2015年の「女性活躍推進法」はほとんどの項目がエリート女子向きにできており、貧困女子は無視されているようだ。女性は上下二層に分断され、いったん躓いたら収入だけでなく「関係性の貧困」に陥ってしまう。自己責任といっていていいのか。老いた親か、風俗業をセイフティネットとするしかない状況を社会が生み出している。2019/08/04

どんぐり

92
このルポで扱うのは、男性が外で働き、女性は家事・育児を担うという「男性稼ぎ主モデル」ではない。結婚・出産をしていない、非正規でしか働けない、親元から自立できない女性たちである。なかでも注目すべきは、ひきこもりを含めた若年無業者(ニート)の63万人(2013年の労働力調査)の統計に含まれていない「家事手伝い」のパラサイト女性。頼れる親のセーフティネットがなければ、生活保護しか残されていないだけに、より深刻だ。正規/非正規、既婚/未婚、子どもの有無、総合職/一般職など女性間格差の溝は深まるばかり。日本の総人口2019/07/12

Shoji

76
世の中の女子たちはもっと怒るべきだ。 安倍首相は成長戦略のひとつの柱として女性の活躍を掲げている。 「一億総活躍」と叱咤激励し、女性が働き活躍することを期待している。 と同時に、子を産み育てることも期待している。 昔、サラリーマン川柳に「無理をさせ無理をするなと無理を言う」というのがあった。 どだい無理やで。 勉強しろ、働け、活躍しろ、結婚しろ、産め、育てろ、介護しろ、、、、 そんなスーパー女子、おらへんわ。 世の中の女子たちはもっと怒るべきだ。2016/12/03

とよぽん

55
貧困の基準は何だろう。この本は女性(若年~中高年が中心)の貧困が一体いつから増えてきたのか、社会構造の変化をたどる。→1985年、均等法の年。また、女性の貧困はなかなか可視化されず社会に埋もれていることにも注目している。学歴、景気の波、健康状態、最初の職場の環境、結婚・離婚、出産など、貧困に陥るか否かの分岐点はたくさんある。今の社会は誰にとって生きやすい社会なのか?「自助」を真っ先に掲げる政権の、あの人は何と答えるだろう。2020/11/12

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