ちくま文庫<br> 人間なき復興 ──原発避難と国民の「不理解」をめぐって

個数:1
紙書籍版価格
¥1,320
  • 電子書籍
  • Reader

ちくま文庫
人間なき復興 ──原発避難と国民の「不理解」をめぐって

  • ISBN:9784480434005

ファイル: /

内容説明

福島第一原発事故後、廃炉の見通しもなく国は「新しい安全神話」を振りかざし、避難者帰還政策を進めている。人を「数」に還元した復興や分かったつもりの国民の「不理解」がこの国をあらぬ方向へ導いている。被災者の凄惨な避難体験と、原発自治体の暮らしの赤裸々な告白を、社会学者が読み解き、対話を積み重ねて「人間のための復興」とは何かを問い直す。事故の本質を鋭く衝いた警世の書。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

45
東日本大震災から6年を迎えるのにあわせて読了。津波災害と原発事故が重なった複合災害が日本にもたらしたものは?国や東電に対する絶望的な迄の信頼の失墜、被災者とその他という国民の分断、いつ終わるのかも分からぬ避難生活。皆がわかったようでいてわからないこの問題に関し当事者を含む3人が意見をぶつけ合い、悩み、考えた結果がこの本。私たちが肝に銘じなくてはいけないのは、原発は地域社会や自治体ではなく、国家による賭けだった。負けたところから、いかに勝ち、いやイーブンに持っていくか。それが復興のありようなのだという事。2017/03/10

山口透析鉄

25
福島第一の原子力災害により避難を余儀なくされた当事者(市村高志氏)が社会学者との対話などから生まれた本です。 帰りたいが帰れないという当事者に対する専門家の帰れない、という不理解が立ちはだかりますが、そもそも除染の欺瞞性を考えると帰還できるとするのに無理があります。 つまるところ、社会の仕組みや科学技術も西洋の借り物でしかなく、日本はそれを独自に使いこなしきれていないのでは?といった根源的な問いかけも当たっているでしょう。 自主避難者の記事は東京新聞でも読んでいましたが、被害は生涯残る、被災は賠償できる↓2025/01/28

えむ

3
原発事故に伴う避難における様々な「不理解」を社会学者と当事者の対話を通じて明らかにしている。対話が行われてから時間が経過しており、本文中の主張も賛否両論あると思われるが、この問題について考える際には一読する価値があると思う。2017/04/01

かわくん

2
原発事故の避難について、避難者と社会学者が考えを述べ合った。その中から見えるのは、原発政策の矛盾と避難区域解除が避難者の将来への選択を狭めていく過程だ。この本が世に出てからすでに2年。原発政策は再稼働への道を走りはじめている。避難者を巡る状況はさらに厳しさを増している。この問題をどう解決していくのか、このままでいいのか、為政者に問いたい。2016/12/31

yokkoishotaro

1
震災後10年がたって、大量死の事実や受け止め方、10年間の思いがあると思うが、政策の振り返りも重要である。廃炉、避難生活の長期化、トリチウムの問題、風評と多くの課題が山積している。先の5年10年考えるために、必要な情報が多く取り上げられていた。2021/04/14

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11185305
  • ご注意事項

最近チェックした商品