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内容説明
働くことこそ生きること、何でもいいから仕事を探せという風潮が根強い。しかし、それでは人生は充実しないばかりか、長時間労働で心身ともに蝕まれてしまうだけだ。しかも近年「生きる意味が感じられない」と悩む人が増えている。結局、仕事で幸せになれる人は少数なのだ。では、私たちはどう生きればよいのか。ヒントは、心のおもむくままに日常を遊ぶことにあった――。独自の精神療法で数多くの患者を導いてきた精神科医が、仕事中心の人生から脱し、新しい生きがいを見つける道しるべを示した希望の一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
181
人間は生きることに意味が感じられないと、生きていけなくなる唯一の動物。ほとんどの人は生計の資を得るためだけに生きていて、無目的なまま人の内面ではなく表面ばかりを追求している。人の頭は自然な状況を押さえ込もうとする。貨幣経済は支配的な価値観となり、禁欲的に労働して未来に備えることを過度に賛美し、無駄を排除し効率を求めすぎている。窮屈な人生を送るのではなく、あえて無計画無目的にとっさの判断で行動してみるといい。心の向くままを忘れずに。やらなければではなく、やりたいことをやること。自らを愛する道しるべとなる本。2021/02/07
徒花
123
まあまあよかった。精神科医が、物質的に満たされることの多い現代人が直面する「生きる意味」の模索の現状とその解決のためのヒントをまとめた一冊。なにかをする、決定するときに短期的な意義とか効率性だけを追求していくと虚無感を抱くようになるので、あえて意味のないことをする、遊びに時間と労力を費やすことが最終的に勧められている。途中はちょっと理屈っぽくなるところもあるけど、終盤はおもしろい。2021/12/27
ehirano1
116
ヒトは行動に意味を求める/求めてしまう生き物である、と。一方で、意味を求めないことはすこぶる楽しい。意味を求めないことはヒトに非ずということなのか?総じて、ヒトとは難儀な生き物であるとつくずく感じました。2024/03/26
とろこ
69
タイトルから想像していたのとはだいぶ違った内容だったが、読んでよかった。思想や哲学といった領域まで踏み込んでいる為、やや難しい点もあったが、著者が分かりやすく言い換えて説明してくれているので、概ね理解できたと思う。【人間は、生きることに「意味」が感じられないと、生きていけなくなってしまうという特異な性質を持つ、唯一の動物です】。人が生きることの意味、「意義」と「意味」の違い、「仕事」と「労働」の違い、「観照」について、などなど、人生にとって大切なことが書かれている良書。2018/02/14
小木ハム
53
ひとつ前の世代のモチベーションは『生活を豊かにすること⇒社会的自己実現』。現世代は豊かな社会に生まれたので『自分の生きる意味⇒役割的自己実現』がモチベーションになっている。乾けない世代である。そもそもベクトルが違う。すでに豊かなのに、いつまでも右肩上がりの神話を追いかけるのは生活レベルを一旦上げると落とせなくなる呪いと同じだ。『君たちはどう生きるか』が累計260万部とバカ売れでしたが、これも感情の現れでしょう。これからの世代モチベーションは『精神と身体を豊かにすること』にシフトするんじゃないかなぁ。2020/09/05