講談社学術文庫<br> 中世のなかに生まれた近世

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講談社学術文庫
中世のなかに生まれた近世

  • 著者名:山室恭子【著】
  • 価格 ¥1,375(本体¥1,250)
  • 講談社(2017/02発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062921701

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内容説明

後北条、武田、今川、上杉など東国の大名が発給した文書は、はんこを捺した「印判状型」。一方、毛利や大友、島津ら西国の大名は「非印判状型」。前者は官僚制的で強力な支配、後者は人格的でゆるやかな支配だった。戦国大名たちの膨大な文書をあざやかに分析し、そのうえで信長、秀吉、家康という天下人の支配の本質にせまる、刺激的な歴史学、登場!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翠埜もぐら

17
戦国時代の諸大名の発給文書の形式の変遷から、その家や時代の変化を考察した力作。個人と個人のやり取りだった文書が、家と家、そして単なる伝達方法と言う官僚的な物に変化していく事で、中世の集団の中の盟主などの立場から、中央集権的な一家による広域支配へと変わっていく様が、山室先生お得意の数量分析と言う手法で解き明かされていきます。それにしても東と西の違いがはっきり。西の方が早くから外国なんかと貿易で通じていたりして、近代化が早いのかと思っていたけれど、東の方が生存競争厳しかったのかしら?2023/06/18

プリン

10
数多くの戦国大名の書状を分類することで見えてくる中世から近世への移行。歴史を扱いながらも通例の歴史学的な検討手段からは程遠い著者の方法論のユニークさに驚かされます。ただ、本書で指摘される判物から印判状への移行が共時的に発生した理由ですが、それが何らかのモデルに基づくものなのか、それとも大名権力の強化に伴う必然なのかが今一つわかりませんでした。読んでいてふと思い出したのは、永井和氏の『近代日本の軍部と政治』。こういう歴史学も存在するんだなぁと、改めて歴史学が面白いと思いました。2013/10/04

MUNEKAZ

7
戦国大名の書状を「印判状」と「判状」に分け、前者が後者をしだいに圧倒することから、その支配体制が「人格的」なものから「官僚的」なものに変質していく様を追った一冊。上杉家、毛利家、武田家など多くの大名家が、内乱や豊臣政権への参入といった「印判状」へ切り替える明確な転換期があるのに対し、代々に渡り着々と印判による体制作りを進めてきた後北条氏の姿が印象的。戦国大名の典型のように紹介されることも多い同氏だが、実際は「異端」に近い存在なのかもしれないと思った。2017/05/10

SKH

6
個人的・人格的支配である非印判状型、非人格的・官僚制支配である印判状型。2013/09/18

アメヲトコ

2
戦国大名の発給した文書の書式にとことんこだわり、そこから領国支配のあり方を、さらには東日本と西日本の差異、中世から近世への移行までをも鮮やかに浮かび上がらせた論考。ところどころかなり大胆な推測が入っていて、全面的に信じられるかどうかは微妙なところもありますが、それでもその見取り図は魅力的で、文書学の面白さを大いに堪能させてくれる一冊です。2014/12/23

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