ハヤカワ文庫JA<br> 棄種たちの冬

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ハヤカワ文庫JA
棄種たちの冬

  • 著者名:つかいまこと【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 早川書房(2017/01発売)
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  • ISBN:9784150312619

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内容説明

災厄による滅亡を免れるため、人類が演算空間に移住した遠未来。棄てられた物理世界で生きる旧人類のシロとサエとショータは、黒のクランの暴力的な支配に怯えていた。一方、クーは安全な演算世界で倦んでいた。蓄積された体験を代謝する時間は、生きていると言えるのか。緩やかに滅びゆく世界で、生と死を問う

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

催涙雨

43
仮想世界に人格を移す感じは今まで読んだなかだとターミナルエクスペリメントとか順列都市とか、あの辺に近い印象のモチーフ。こういうのは結構好きです。この作品では荒廃した現実世界も同時に存在していて、どちらも物語の舞台になる。世界観の広がりにはかなりスケール感のある作品なのだけど、ここで描かれる内容は非常にミクロ的、個人的なもので、規模が小さい。こういう世界観のなかでごく少数の閉じられた相関によって終わる小さな悲哀の物語を語らせるのって、良い意味で肩の力が抜ける、非常に人間的なものだと思いますね。2021/11/06

ソラ

34
序盤はファンタジーチックで中盤からデータ云々のSF的展開になってどうなるのかなと思ったら、そういう繋がりだったのかと…。途中ちょっと理解が追い付かなくて置いてきぼりになった感はあったのだけれど良作。2017/02/24

よっち

29
災厄による滅亡を免れるために人類が演算世界に移住した遠未来。データとなって生きている人間たちと、過酷な物理世界で生きるサエとシロ、ショータたち棄民の物語。自由のない人生を押し付けられるのを嫌い群れのクランから離れたサエとシロ、そして二人に拾われたショータ。過酷な冬に殺伐とした世界観でしたが、データとなった人間だからこそ生きる意味を追い求めたり、いろいろ知りたいと思ったりするんでしょうかね。ギリギリで生きるのに精一杯だとそんなことを考える余裕もないし、その辺の意識の差が結末にも現れているような気がしました。2017/02/06

そふぃあ

25
もうすぐ氷河期が訪れる黄昏の地球で、データの世界に移住し永遠の生を得た人類と、有限の生を滅びるまで営むことを選んだ者たちの末裔が織りなす、〈生きる〉ことの在り方を問う物語。肉体の無い〈生〉を体感したことがないので分からないが、精神と身体が密接に関係し合う人間の魂からそのまま体だけを取り去って仕まえば自我(自己と他者の境界)は崩壊するだろうし、仮に調和の取れた状態になってもそれは既にかつての人間とは遥かに異なる存在だろうと思う。そういうことを考えるとVRが普及しても肉体との付き合いは続くんだろうなと思う。2022/01/11

ふじさん

23
偏愛。いずれ永遠の冬に鎖される終末を生き延びる「棄種」と、肉体を手放し永遠の生命を得つつも、満たされない「体験」への渇望の中で藻掻くように創造し続ける人類。位相の異なる世界が個人の意識を介して重なり、ドラマを形作っていく構成は、デビュー作とも通じる手法で詩情豊か。苦しみしか存在しない物理世界にほんのひと時でも生の実感を与え得る互いの体温、理屈を超えて想い合う親愛が導く結末には込み上げる物があった。肉の身体に取り残され、過酷な環境で苦痛に晒される「棄種」は、しかし一面に於いて「貴種」でもあるのだろう。傑作。2022/07/02

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