角川書店単行本<br> 海に向かう足あと

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角川書店単行本
海に向かう足あと

  • ISBN:9784041041956

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内容説明

村雲達6人のクルーメンバーは、そう裕福でない日々の中で捻出した費用で、念願の新艇を手に入れる。早速、三日月島をスタートに開催される外洋ヨットレースへの参加を揚々と決める。小笠原諸島近くのその島には申し分ないサービスを提供するホテルがあり、ヨット乗りには夢のような島だった。盛り上がる「大きな少年」たちを、時に辛辣な言葉をかけながらも温かく見守る家族や恋人たち。唯一の懸念は、きな臭い世情不安だけだった。メンバーの一人である諸橋は物理学を専門とし、政府のあるプロジェクトに加わっていたのだ。独身を通してきた村雲は、お礼セーリングに美しい女性輝喜を互いの愛犬二匹とともに連れてきた。若くてフリーターの洋平はシングルマザーとの交際を真剣に考え、ベテランの相原は自分の体力と人生の限界を感じていて、メンバーそれぞれがそれぞれの思いとともにレースに向かおうとしていた。準備のために三日月島に先入りしていたメンバー、しかし合流するはずの諸橋や家族たちが当日になっても到着しない。本人たちの携帯も通じない。やがて一切の通信も凍ってしまい……。世界で何が起きているのか? ――切ない、心に迫る、ディストピア小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆみねこ

79
のどかなヨットマンの物語かと思いきや、衝撃的な結末に驚く。今、世界が不安に満ち溢れている。本の中のことが現実になってしまったら、取り返しがつかなくなる。何でもない日常が一番幸せなのだと思いました。2017/05/01

ゆみねこ

68
この本のラストの衝撃、いつまでもあとを引きそうです。寝る前に読んだので夢見が不穏なものに。2017/05/01

ちょき

62
ヨット乗りから見た終末。世界が戦争へと舵を切る中でもヨットレースに情熱を傾ける人たち。この世の楽園、三日月島。佐伯シェフ、犬のリク、キャプテン村雲と恋人の輝喜。どんな展開かとの期待も一転、人は学ばないというおばあちゃんの言葉が胸に残った。ディストピア。現実に戻れば、今まさに決戦前夜の某国と挑発するアメリカ。ただただ、これ以上人類が誤らないこと、間違えないことを祈るのみである。浜省の「僕と彼女と週末に」がバックグランドで流れている。♪いつか子供達に この時代を伝えたい どんなふうに人が 希望を継いできたか♪2017/04/28

テクパパザンビア

52
面白かった。こんなんがディストピア小説っていうのか…。広島も長崎も前日まではいつもの日常を過ごしてたんだろうなぁ〜と考えさせられた。北朝鮮のミサイルなんか撃ってこないで…お願い〜。2017/07/11

千穂

35
海の男たちのヨットレースにかける日々を描いているはずが、一体世界に何が起きたのか?いつテロが起きても不思議ではない時代。幸せな時間が突然切断されるかも知れない。穏やかな日常にどっぷり浸かっている自分も今の平和の為に働けることはないだろうか?2017/03/30

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