創元推理文庫<br> ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選

個数:1
紙書籍版価格
¥1,100
  • 電子書籍
  • Reader

創元推理文庫
ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選

  • ISBN:9784488506025

ファイル: /

内容説明

ナポレオン戦争直後、パリへの途上で謎めいた美貌の伯爵夫人と出会った英国人青年が奇怪な犯罪と冒険に巻き込まれていく過程が、息もつかせぬサスペンスの連続のうちに語られる中篇「ドラゴン・ヴォランの部屋」。悪魔と取引した男の凄惨な最期を迫真の筆で描く「ロバート・アーダ卿の運命」。森から現れた黒衣の男に見初められた村娘の運命は……民間伝承の妖精譚に取材した「ローラ・シルヴァー・ベル」ほか全5篇を収録。M・R・ジェイムズ、セイヤーズが絶賛する〈謎と恐怖の巨匠〉レ・ファニュの傑作選。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紅はこべ

94
表題作、語り手のベケットに誤配された手紙、仕組まれたものなのか、それともその偶然から悪巧みが企まれたのか、ドラゴン・ヴォランの部屋から姿を消したフランス貴族、ロシア人の真相は?いろいろモヤモヤが残った。それが味なんだろう。短編4編が良かった。重婚と狂女というのは、英文学の定跡か。2017/12/21

藤月はな(灯れ松明の火)

90
レ・ファニュが贈るアイルランドを舞台にした「本当にあった不思議で怖い話」。「ロバート・アーダ卿の運命」は世間で伝わるおどろおどろしさと違い、沈鬱に運命を受け入れようとするアーダ卿の姿が印象的でした。「ティローン州のある名家の物語』は『ジェーン・エア』のよう。しかし、ファーニーさんは時代が違えば、家系に縛られることもなく、自分一人で生きていけるような人だっただろうと思わせる性格なのが彼女の境遇をより一層、遣る瀬無いと感じてしまう。2017/08/29

sin

74
怪異譚が4短篇と、表題の“ドラゴン・ヴォランの部屋”は中編でミステリの先駆けの様な風合いの犯罪小説…。4篇の怪異譚はアイルランドの自然の中で繰り広げられる宿命と因縁、妖精の怪異等…今で云う“本当にあった怖い話”風の物語。そして“ドラゴン・ヴォランの部屋”は、イギリスからフランスに出て来た金持ちの青年が巻き込まれた詐欺事件を描く、その描写は当事者の青年の視点からで、恋に目が眩んだ彼の行動が何とも歯痒くて、読んでいるあいだじゅうその軽率さにつっこみを入れっぱなしであった。まるで別の人物が書いたかのような作風?2017/08/22

HANA

73
怪奇小説からサスペンスまで。レ・ファニュというと「吸血鬼カーミラ」が名高く怪奇作家と思い込みがちであるが、本書ではそれらと同時に『墓地に建つ館』や『アンクル・サイラス』に代表されるような面も楽しむ事が出来る。怪奇小説の方は悪魔や幽霊の復讐、妖精といった民間伝承的な一面も持ち、背後で何かが起きているのにそれをはっきりと明示しない点で現代の恐怖小説に通じる部分があるなあ。表題作だけど密室や早すぎた埋葬等、ポオの探偵小説に通じる気がするのは自分だけだろうか。しかし今更この著者の本が読めるとは夢のようであった。2017/02/13

星落秋風五丈原

50
もっと恐ろしい話ばかり出てくるのかと思いきや、人はむしろ甘美な恐怖に魅せられていくのですね。2017/03/07

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11269914
  • ご注意事項

最近チェックした商品