内容説明
主人公の英語教師はあるときふと思い立つ。世に偉人伝は数多あるが、第二のナポレオンは現れない。ならば失敗に鑑みる『凡人伝』を書くほうがよほど有益だ。神童と謳われ、その後凡人の道を歩む自分の伝記を書こう、と。自然主義、プロレタリア文学隆盛時に全く新たな分野を開拓、「ふつうの人々」の生活に寄りそい、上質で良識ある笑いを文学にもたらした、ユーモア小説の第一人者による傑作長篇。
目次
はしがき
イントロダクション
十で神童
模範生脱却
昔の中学生
笈を負うて
第一印象
級友諸賢
信者未信者
卒業前後
得意と失意
若河原老河原
ロマンス抜きの理解
生活難
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まこ
6
凡人の伝記を書こうとする理由もそうだけど、子供のころからこの主人公を動かしている原動力は「みんながすごいと思っているもの」に対する反骨精神。大人になってからはそれが多少薄まっていく感じがするけど、そうじゃない。奥さんとの結婚といい、生まれた子供の人数といい、平凡な人生の中に話のネタになりそうな面白いものを拾っている形で表れていた。誰にだって凡人伝は書けるんだよ。2018/10/03
まこ
5
明治の中ごろに英語を勉強してキリスト教徒出会い、腐れ縁の友人も得る。いかにも偉い人になりそうだったのに、そうはいかない(笑)。今の主人公だから言える昔の自分や周囲の人たちに対する突込みが作品のゆるい雰囲気に合っていて、読んでてすごく楽しかった。そんな中に人生を生きるヒントが時折書かれててハッとさせられる。凡人伝を書こうとしたのは正解だよ。2016/03/16
relaxopenenjoy
4
さすがユーモア小説の佐々木邦。アンソロジー以外では、まとまった小説読むのは初。時代は日露戦争の頃で古いはずなのに、現代にも通じるユーモア、そして読み易さ!!地元中学や、明治学園での学友や、その後の、教師として赴任した地での出会う人々。会話部が粋で、「 」「 」でテンポ良く続き、余白が多いので、大衆に人気があったとは、なるほど。2024/05/12
Tonex
2
戦前にユーモア小説というジャンルを開拓し人気を博した著者が自分の半生を下敷きに書いた青春小説。昭和4年から5年にかけて雑誌に連載された古い小説だが平易で読みやすい。解説に「明るくて、健全で、愉快」は佐々木邦文学の三原則と書いてあった。今の日本の文学から失われてしまったものがここにある。2015/09/08
残心
1
「明るくて、健全で、愉快」。 そういうものを期待して読んだのだが、実際その通りなのに、少しつまらなくなって途中退場。 文体は心地よいのだが、相性があまり良くないのか・・・。 健全すぎるのが苦手なのかも、と自分を改めて発見。2016/10/08
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