内容説明
主人公の英語教師はあるときふと思い立つ。世に偉人伝は数多あるが、第二のナポレオンは現れない。ならば失敗に鑑みる『凡人伝』を書くほうがよほど有益だ。神童と謳われ、その後凡人の道を歩む自分の伝記を書こう、と。自然主義、プロレタリア文学隆盛時に全く新たな分野を開拓、「ふつうの人々」の生活に寄りそい、上質で良識ある笑いを文学にもたらした、ユーモア小説の第一人者による傑作長篇。
目次
はしがき
イントロダクション
十で神童
模範生脱却
昔の中学生
笈を負うて
第一印象
級友諸賢
信者未信者
卒業前後
得意と失意
若河原老河原
ロマンス抜きの理解
生活難