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内容説明
6億4000万人の巨大市場の「いま」がわかる決定版!土着国家から欧米の植民地へ、日本による占領統治、戦後の経済発展、ASEAN経済共同体の誕生――。ホー・チミン、スカルノなど独立指導者のドラマ。ベトナム戦争、カンボジア内戦の悲劇。シンガポール、マレーシアの経済発展の光と影。フィリピン、タイ、ミャンマーの民主化運動――、ASEAN地域の過去・現在・未来を読む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
molysk
69
東南アジア諸国の特色は「多様性の中の統一」にある。民族や言語や宗教が違うだけではなく、政治社会構造や経済発展段階も異なるという、多様性。一方で、差異を認めながら、地域機構のASEANを創設して協調を追求するという、統一の動きも併せ持つ。本書は、欧米による植民地化、日本による占領、独立と混乱、政治と経済の発展という東南アジアの歴史を説明する。興味深いのは、東南アジアの多様性を知ると、東アジアを相対化できること。開発独裁と民主主義、農業国と工業国。この間のどこに来るのか。日本の近隣諸国の位置づけを考えてみる。2022/08/01
ホークス
38
2017年刊。東南アジアの近現代を概観。あやふやな記憶を整理できたのが嬉しい。大国や周辺国、経済政策、イデオロギー、地政、宗教、民族などが複雑に影響し合うところを簡潔にまとめている。エリア全体の特性は、各方向につながっていて否応もなく情報や物や人が流動する事。様々な要素のバランスと固有の体験が、各国の違いを形作っている。本書が読みやすいのは、書き手の都合(怨恨、信条、義理だて等)を強要されず、学問業界の保身や気遣いも目立たないから。現実主義でありながら、ほんのり慈愛を感じさせる文章がありがたい。2023/04/01
姉勤
37
最近読んだ小説の副読本として、またミャンマーのロヒンギャ、映画「アクト・オブ・キリング」の背景、ポルポト、ホーチミン、シアヌークという指導者についてなど、うっすらした東南アジア諸国の知識の、蒙々とした曖昧を啓こうと。個人的に期待していたフォーカスが当たってないことを除けば、端的にまとめられ入門書としては過不足ないと感じる。ただ、かの国々の近現代史に最大の影響があったはずの、中国共産党の存在が、ほとんど無色透明になっており、分量にもバランスを欠いている感もあった。2018/10/03
yutaro13
28
先に岩波新書『東南アジア史10講』を読んだが、そちらは世界史の教科書のような感じだったので、本書の方が読み物としては面白い。「多様性の中の統一」が著者による東南アジアを紐解くためのキーワード。いま現在東南アジアに住み英語学習に苦労している身としては、フィリピンとシンガポールの英語定着率の高さに関心があるが、本書を読んで両国家ともに「土着国家がなかった」という共通点を発見した。考察を深めていきたい。2022/04/23
Akihiro Nishio
26
既にほとんどの国の各国史を読んでいる自分にはおさらい的な内容だったが、並べて書くことで同時に各国がどうだったのかが良くわかったのが良かった。インドネシアが突破口を開くことが多かったことを知る。また、どうして東南アジアで開発独裁という政治体制がどこでも取られたのかということも部分的にわかった。さすがにこの本だけでは、あまりにはしょり過ぎで、重要な出来事が1行で書かれるだけなので、むしろ最初に読むには適さないかも知れない。2017/05/19