内容説明
キューバ革命、冷戦、国交回復……カリブの小島に住む108歳の日本人移民。新潟県生まれの島津三一郎氏はスイカを育てて暮らしたが、一度も日本に帰国しなかった。なぜか。静かな感動に包まれるノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
13
20歳のときにキューバに移民して、日本に一度も里帰り出来ず、昨年(2016年)108歳で亡くなった島津三一郎さんの一生を追ったドキュメント。ご本人からは、その労苦をあまりインタビュー出来なくて、周辺取材からその姿やキューバの時々の様子が浮き彫りになる。「私はお金をもっていない。だから、長生きすることができたんです」運は良くなかったが、確かに「幸せな孤独」だったのかもしれない。キューバの歴史や現在を知ることができたことも有益だった。2017/09/27
sasha
3
カナダやアメリカ、ブラジルへのようにキューバに渡った日本人移民がいたんだね。島津三一郎さんは移民一世にして、独身のままカリブ海の島で108歳の生涯を閉じた。太平洋戦争の際の親米政権下での強制収容、キューバ革命、キューバ危機、アメリカによる経済制裁、ソ連崩壊。歴史の波に揉まれながら精一杯生きた人。ご本人は多くを語っていないが、丹念に取材して書かれているのだが、言葉の遣い方や句読点の打ち方等、引っ掛かることが多く、何度か読み直さなければならない文節があったのが残念。もっと文章力のある著者ならよかったかも。2017/05/18
sato yoko
2
キューバ移民一世の島津三一郎さんは日本に一度も帰国することなく独身のまま108歳の人生を終えた。彼を通して移民生活とキューバに焦点をあてた本。古さとの高校の校歌を歌う島津さん、実は彼はこの学校の卒業生ではなかった。こんなエピソードなど丁寧に取材された興味深い話が満載だった。島津さんの生きた時代は日本にいたとしても厳しい時代。書名に『幸せな孤独』とあることから島津さんはきっと幸せだったのだろうと思わずにはいられなかった。2017/05/06
みかん缶詰
1
内容的には実に薄っぺらい一冊。深くキューバのことに言及しているわけでもなく、ちょっと行って、ちょっと調べて、全然興味がないのだろう。調べも足りなければ、細かい所に目もいっていない一冊。 近藤紘一レベルで読むと、まるで稚拙で話にならない。単なるルポライターの自己満足的な一冊。凡庸以下な本だった。残念。2022/04/22
Okitaina
1
キューバに日系移民がたくさんいるという事実すらあまり意識してこなかったけど、 第二次世界大戦、キューバの砂糖価格暴落、キューバ革命、社会主義化、現在も世界中で話題になっている移民問題、あるいは医療、福祉についても そんなストーリー、視点があったのか、と気付かせてくれた一冊。 本当に読んでよかった。2018/02/08