内容説明
なぜ「化かす」と思われていた?
ポンポコはどこからきている?
津波後の海岸にヒトより早く戻ってきたって本当?
野生動物とうまく共存していくために知っておきたい
長い間人のそばで生きてきたタヌキの真実
昔話でもおなじみ、古くから人とともに行きてきたタヌキは、現代人にとっても最も身近な野生の哺乳類である。
東京23区すべてに生息が確認されているほど、都会でもたくましく生きる野生動物だが、その生態はほとんど知られていない。
そのわりに、昔から化かす動物と思われていたり、タヌキおやじなど抜け目ない生き物の代表として使われたりと、さまざまなイメージがついてまわるふしぎな動物でもある。
そこで、生態等の基礎知識を紹介しながら、そんなタヌキのイメージをじっくりひもといていくのが本書である。
どこに住んでなにを食べているのか、どうして化かすと思われたのか、本当に腹鼓を打つのかなどを、野生動物の専門家がひとつひとつわかりやすく解説する。
タヌキのたくまくしさは都会ばかりではなく、東日本大震災の被災地でも確認された。
街も植物も流された仙台海岸に人間よりも早くタヌキが戻ってきていたのである。
本書ではそんな最新事情まで知ることが出来る。
目次
序章 そのイメージはどこから来るのか?
1 タヌキの基礎知識
2 タヌキのイメージを考える
3 タヌキの生態学
タヌキのQ&A
4 東日本大震災とタヌキ
5 タヌキと私たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユカ
52
狸、ラブリー。会わないけどすぐそばにいるなんて。彼らの動物学と生態学がよくわかる本でした。そういえば昨夜、TVで猫のマダニ寄生例の増加・猫からヒトへのSFTS感染について、危惧を抱かせる報道がされていました。まるでマダニや野生動物が人間の暮らす地域に侵入してきたかのように語られていたけれど、もともとここにいたのはマダニや野生動物で、むしろ人間が侵入して追いやったのだと思う…。人間が快適な生活を望むのも、大きな視点で見れば自然の摂理ではあるけれど、私たちは過剰なところがあれば抑制できる能力ももっている。2017/08/31
アナクマ
42
糞からわかる生態学が特に面白く、この辺りが読みどころでした。種子標本を収めた小さなガラス瓶や、マーカー入りソーセージなどは「理科だましい」をたいへんにくすぐる。◉投影面積を反映するポイント枠法の利点。天皇陛下のタヌキ糞論文。日の出町の廃棄物処分場跡地の放置・遷移まかせ提言(これはいい仕事。かつ、宝の山!)。オオカミ導入に関しては人びとの意識変化に注目している。◉信楽焼のタヌキ、実は1935年の創作物ってのに地味にびっくり。タヌキにまつわるエトセトラ。イラスト含めて明るい本作り。4章5章はまた今度。2019/09/06
ラルル
32
里の獣と書いて狸。まさにその通りに我が家ではお馴染みの野生動物です。本書での調査地が日の出町や玉川上水といったとても身近な所であった為、更に興味深く読めました。年間を通した狸のロードキル(自動車事故)の数に仰天しました。そうか羽村にはテンも居るのか〜。我が家にもいつか来るかな(´`)2018/05/26
myc0
24
私はいつも、気になった本を大して見もせずに借りたり買ったりする。今回は、「戌年だから犬本を!」と思って借りたのに、家に帰って見たらタヌキ本でびっくり!タヌキというキャラクターイメージの変遷は、人間とタヌキの関係の変化に由来していると知り面白かった。野生キツネは東京23区にはもういないそうだが、タヌキは20区で今も確認されていている。「ケモノ偏に里」と書いて狸と読む様に、里=人のいる場所でこそタヌキは生きる。しかし車に轢かれて死ぬタヌキが年間1万匹以上もいるというのはなんだか遣る瀬無い気持ちになるなぁ。2018/01/13
たくのみ
23
タヌキのことに詳しくなる、というよりタヌキ雑学の入門書。キツネ、アナグマ、アライグマに比べ、世界での分布は狭い(アジアの一部)。震災後のタヌキの復活ドキュメント、ちょっと上から目線の問答解説Q&Aは読みにくいけど、画像が豊富で絵が可愛い。身近なだけにあまりにも知らないことが多かったタヌキ。ユーモラスな彼らの写真で癒されたい人にはピッタリです。2016/02/14
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