内容説明
放浪、奴隷、捕囚。民族的苦難の中で遊牧民の神は成長し、ついには全宇宙を創造・支配する唯一なる神ヤハウェに変貌する。なぜ彼らは「一神教」を成立させ、「律法の民」となったのか? キリスト教やイスラームを生み、歴史の果てにイスラエル国家をも造り上げた「奇跡の宗教」の軌跡を、『聖書』の精読を通して、神理解の変化に焦点を当てつつ探究する。
目次
プロローグ──ユダヤ教とは何か
第一章 導く神──放浪の民に与えられた約束
第二章 解放する神──エジプト・奴隷生活からの脱出
第三章 戦う神──「聖戦」と約束の土地カナンの征服
第四章 農耕の神──農業王国としてのイスラエル
第五章 審きの神──王国の発展と選民思想の強化
第六章 隠れたる神──ユダ王国滅亡の衝撃
第七章 唯一なる神──世界の歴史を導く神へ
第八章 律法の神──ユダヤ教の成立
エピローグ
注
参考文献
原本あとがき
文庫版あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
N島
15
民族の苦難の歴史を自らのアイデンティティとする『ユダヤ』の民。そんな彼らの唯一神が、如何に形成されたかを、旧約聖書の記述をベースに読み解く一冊。旧約聖書の解説書としても読める内容ですが、より深い理解を得るには『聖書』そのものを読破する必要があると感じた次第。…次はヨシュア記でも読んでみようかな。2015/08/30
雲をみるひと
9
ユダヤ教の大凡ローマ期までの成立過程、性質を論じた本。時代背景、およびユダヤ人の置かれた環境とYHWHの性質がセットで論じられている。 複雑な事象をシンプルに説明しようという意図が感じられる作品。2020/05/07
misui
6
旧約聖書に表れた神の性格の変遷を通してユダヤ教を見る。「小家畜飼育者」を導く神に始まり、解放する神、戦う神、農耕の神、審きの神、隠れたる神、唯一なる神、律法の神へ。ゾロアスターの影響やメシア思想との絡みなど面白いキーワードが拾えた。旧約の中でも神の性格がばりばり変わってるなぁと思ってたので勉強になりました。2023/10/22
Hiroshi
5
キリスト教及びイスラム教の母胎であるユダヤ教。この一神教がどう成立したのか旧約聖書を読み解いて見ていく本。「創世記」に遊牧民の族長としてアブラハムが登場する。イスラエルの始祖でありイサク・ヤコブと続く。族長というが大家族の長だろう。鵼的な神的存在が出てきて、土地授与の約束と子の増加の約束をする。個人に顕現した神だ。小家畜飼育を導く神だ。「出エジプト記」ではモーセに私はヤハウェと名乗って神が現れる。全てを超越した神だ。歴史の中で人々と共に歩む神だ。家族共同体から部族共同体の神になる。カナンの征服が行われる。2024/01/12
刳森伸一
4
ユダヤ人が神をどのように捉えていきたかを追いながらユダヤ教とユダヤ人の歴史を概説する。分かりやすく丁寧な解説書だと思う。2015/10/20
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