内容説明
1939年、ロンドン。婦人服の仕立て師(ドレスメーカー)として頭角を現しつつある18歳のエイダは、上流階級の紳士と知り合う。しかし戦争の暗雲が近づく中、その出会いは思いもよらぬ残酷な運命に彼女を導くのだった……第二次世界大戦を舞台とした歴史小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケロリーヌ@ベルばら同盟
50
歴史学者である著者が、その持てる見識を存分に発揮し、想像の翼を拡げ創作した、ある女性の生涯。若干18歳ながら、婦人服の仕立てに卓越した技術とセンスを持ち、容姿にも恵まれたエイダは、将来に大きな夢と野望を抱く娘だった。洗練された外国人紳士に魅了され、巧みに誘われるまま、親に内緒で旅に出たパリで、母国英国がナチス・ドイツに宣戦布告した報に接し、その人生を戦争によって大きく狂わせられて行く。女性の身で、敵国の捕虜となる悲惨、辛くも母国に生還しても、身内に糾弾され拒絶される残酷。心抉られながら、一気に読み終えた。2021/05/14
星落秋風五丈原
47
世間知らずの10代の女性がちょっとかっこいい男性にのぼせあがった代償としてはあまりに重いものを払う羽目になる。ダッハウという地名でピンとくる人もいるはず。「時代に翻弄される」という言葉があるけれどエヴァことエイダはどんなに踏ん張っても時代に流されていってしまう。最初のつまずきがどんどん悪い方に転がっていく。2017/03/06
あじ
42
彼女は幼かった。虚勢だけは立派、いつも両親を恋しがる少女だったのだと思う。時はヒトラーのポーランド侵攻の頃。惚れた男に誘われパリに渡ったが、戦争が始まりロンドンに帰国出来なくなってしまう─。彼女の人生は戦争に翻弄されたばかりとはいえない。彼女の未熟さが、後の崩壊を招いたと私は考えている。特別な強さではない等身大の女性の精神を、内側から描いたのだと思う。天の邪鬼な読み方をしてしまった。2017/02/18
ふみ
30
ダッハウの仕立て師って比喩でも何でもなくて、ほんとにダッハウの仕立て師だったんですよ! ラスト二行でこの話が頭から離れなくなる。おそろしい。2018/07/22
ヘラジカ
26
なんとも強烈な作品。まさかまさかここまで徹底的に描くとは思いもしなかった。ラース・フォン・トリアーを彷彿とさせる、と言えば分かる人には分かるだろう。完成度は高いが、気軽に手に取ると後悔するかもしれない小説。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が嫌いな人には絶対オススメしない。短時間で読めてそこそこの感動を得られるエンタメ小説とは一線を画する作品なので注意。2017/01/11
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