文春e-book<br> 人質の経済学

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文春e-book
人質の経済学

  • ISBN:9784163905808

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内容説明

◆トランプ後の世界に必読の一冊◆

「恐ろしい本。人間が、単なる商品として取引される実態を克明に描く」
解説:池上彰(ジャーナリスト・名城大学教授)

ベストセラー『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』の著者が、
次なるテーマに選んだのは「人質ビジネス」。
交渉人、誘拐専門の警備会社、囚われた人質、難民らに取材を重ね、
「テロリズムの経済」を明らかにする!

・一番金払いが良いのはイタリア政府。
それゆえここ15年ほどの間に大量のイタリア人が誘拐されている

・助けたければ誘拐直後の48時間以内に交渉せよ

・武力による救出の3回に1回は失敗に終わり、人質または救出部隊に死者が出る

・10年前、200万ドル払えばイラクで人質は解放された。
今日ではシリアでの誘拐で1000万ドル以上支払う

・誘拐された外国人は出身国によって、助かる人質と助からない人質に分けられる

・誘拐組織は難民たちの密入国斡旋に手を拡げ、
毎週数万人をヨーロッパの海岸に運び、毎月一億ドル近い利益を上げている

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

更紗蝦

19
身代金目的の誘拐や、移民や難民の斡旋がビジネスと化し、それによって得られたお金が犯罪組織やテロ組織を潤す仕組みが説明されている点は良いのですが、フリーのジャーナリストに対する「無知・英雄気取り・夢見がち」などのレッテル貼りが酷いです。これは著者が「銀行員だった経歴を活かしてマネーロンダリングとテロ組織のファイナンスの研究者になった人」であり、つまり、マネーフローのプロとしての視点はあっても、経済倫理学の視点がゼロであるせいだと思われます。2018/03/05

小鈴

18
国家が崩壊した先に何があるのか。そこには神も民主主義の理想もない。人の売買という徹底した資本主義の完遂だ。群雄割拠する荒くれもの達が金を稼ぐ。混乱こそ大儲けの源だ。始まりは9.11愛国者法。ドル決済からユーロ決済せざるを得なくなりEUルートを開拓。イラク戦争後に多発した誘拐、人質解放の身代金がジハーディストを育て、人質ビジネスモデルが普及した。ジャーナリストは売られ誰も混乱地には訪れない。忘れられた戦地から大量の難民がEUへ流れるが、難民輸出が今や彼らの稼ぎなのだ。荒くれ者達よ稼いだ先に何があるんですか。2017/01/16

4fdo4

15
北アフリカからアラブ地域へ広がるテロ組織による外国人誘拐。日本人被害も。結果はご存じと思う。誘拐が発生すると政府は浮足立つ。身代金を払うのか?テロ組織の要求をつっぱねるのか。長期の交渉の末に身代金は値引きされることも多い。反面誘拐犯は数か月、数年に渡る交渉で経費がかさみ利益が減る。一切の身代金を払わないと公言している政府もあれば、支払い且つ被害者が英雄扱いになる国も。人命の重さとは何なのか。誘拐による身代金入手の経費・時間に比べ、密入国斡旋が先払いで効率が良いことに気づいた組織は徐々にシフトしてる2021/12/11

BLACK無糖好き

14
著者はマネーロンダリングとテロ組織のファイナンスに関する研究の第一人者。◆本書は経済のグローバリゼーションの影の部分に焦点を当て、欧米の民主主義をグローバル・ビレッジの隅々まで輸出する試みが完全に裏目に出て、より危険になった世界の実態を余すことなく記している。誘拐・人身売買・密入国斡旋・難民ビジネス。人間の命の尊重がいかに脆いものか、人間の尊厳がいかにたやすく踏みにじられるか、どうしようもないほどの過酷な現実を目の当たりにさせられ、頭がクラクラしてきた。 2017/02/23

Masap

11
海外への渡航が怖くなりました。人身売買の対象は貧困層だけではなく富裕層にも広がる現実。政治が機能しない地域を根城とし地元住民を利用した誘拐ビジネス、その資本が富裕諸国を出元としていることを本書は指摘している。一般のメディアが報道しない闇ビジネスの構図が具体的な事例をもって掘り下げ描かれています。日本人ジャーナリストの事件の背景が興味深い。他山の石としてはいけない。2017/10/01

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