内容説明
詩が書けなくなった大詩人と訳あり女性編集者。突然、口をきかなくなった娘とその真相を探る母親。詩人との交流を通して、大切な人の心に届く言葉を探す女性達の奮闘を描く各紙絶賛の感動作。
世界は言葉の拘束衣を着ている、詩はその綻びか。
活字ではなく浮世に生きる詩と詩人を描いて新鮮。――谷川俊太郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
156
深い深い作品でした。『詩』が書けなくなった既に過去の人になりつつある大詩人「藤堂」と、何やら訳ありな女性編集者「桜子」の不思議な交流をえがいています。とにかく詩人「藤堂」がダメ人間すぎて、個人的には嫌悪感すら抱きました。そんな彼が講師を務める「詩」の講義に参加している主婦「まひろ」には娘「クルミ」との関係で悩みがあります。イジメにあい、ひきこもりになってしまった娘との関係修復を図ろうとしますが、なかなかうまくいきません。そんなひっかかりのある様々なライフスタイルをしっかり綴る谷川さん、ステキな作家です。2021/04/20
hisato
80
詩やエッセイはあまり読まない、というか読んでいてもイマイチ分からない感性しているので何となく小説の中の話としても避けてきたのですが、タイトルに釣られて手に取ってみました。読後も正直、詩の良さについて何か分かったということはありませんでしたが、言葉一つ一つの意味と価値をとても大切にしていることや挫折した人たちが立ち上がろうとしている、その内容はとてもステキでした。自分が普段あまり考えずに話してるなぁとしみじみ思いますね。2017/01/29
Ikutan
60
13年間新作を出していない詩人藤堂の担当になった、過去の喪失をひきずる編集者。覚えのない中傷で人との関係を拒絶する娘に心を痛める、藤堂の詩の教室に通う母親。二人の葛藤を描いた物語ですが、ストーリーよりも、藤堂や彼女たちが考える言葉というものに強く引かれた。安易に何度も使うことで、薄くなっていく言葉。相手に不快感を与えないために汎用される曖昧な言葉。人の心を動かすのはそんな言葉ではないのだ。普段意識せず、その場限りの言葉ばかりの自分が恥ずかしい。謝られたら受け入れざるを得ない『謝罪は権力を生む』も納得。2015/08/22
いたろう
54
13年間作品を書いていない詩人。いくら依頼されても詩を書かず、逆に新任女性編集者に馬券代やキャバクラ代までたかる破天荒さ。一方で、講師を務める詩の教室で、しっかりと言葉について語るのもまた同じ詩人の姿。はたして新しい詩は書かれるのか? 詩人と女性編集者との関係は? そして、詩の教室に通う女性が抱える問題はいかに? 「おしかくさま」では宗教やお金を、「断貧サロン」ではヒモ男をカリカチュアライズして、風変わりな物語にまとめ上げた著者の今作は、何のギミックもないストレートな作品。それだけにまっすぐに心に響いた。2015/08/30
トラキチ
49
他の作家の作品では味わえない世界観を持っている作品だと言える。 長年詩をかけない大詩人藤堂と、彼の担当となる編集者桜子との関係が一見いびつにも見えるけれど読み進めてゆくうちに愛おしくなる。もう一人忘れてはならないのは娘が ほとんど口を利かなくなってしまった母親で読者には彼女への距離の方が近いと思われ胸が苦しくなります。彼女が通う詩の教室を藤堂が開いていて、結びつく行くところが切なくもあるが清々しい。 誰もが持っている辛い過去ですが、読み終えると気持ちが楽になります。背中を押してくれる人生応援歌的な良作。 2018/11/04
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