内容説明
17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが――。天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動の数学ノンフィクション!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
740
360年間も証明できなかったフェルマーの最終定理(正しくは予想)。1994年10月25日、アンドリュー・ワイルズによって、とうとう最終的に証明された。数学の素人にも、問題そのものの意味は明らかなのだ。すなわち、Xのn乗+Yのn乗=Zのn乗の式において、nが3以上の正数解はないというもの。小説以上に読む楽しみの多い、実に感動的なノンフィクションだ。ピタゴラスから、オイラー、ガロワとまるで数学史そのもの。日本の数学者の谷山・志村予想も大いに貢献している。たとえ数学が苦手でも、かならずや興奮の渦に巻き込まれる。2013/09/17
ミカママ
566
手に取る前にいろいろ誤解していたことがあって、そのひとつはこれが「数学書」なのだろうこと。終わってみれば、歴史ロマンであり、ミステリであり、立派なノンフィクション作品であったということだ。そもそも著者は数学者ですらなかった(物理学者)。この壮大なミステリを解く過程において、日本人数学者の名が連なるのも誇らしい。そしてその陰に隠れた悲劇。わたしのような純文系で食わず嫌いしている読者にも自信をもっておススメ。2024/08/23
ehirano1
363
天才どもが夢のあと。感無量、最高でした。2024/04/14
nobby
360
数式の理解はほぼ叶わなかったが、世紀の難問に挑む天才数学者達の辿った物語には感動。聞いたことのある学者の名前に並んで日本人の名前が重要な場面で数多く登場し誇りに思えた。数学に背理法や帰納法など証明があることは知っていたが、ここまでメインに考えたことはなかった。数々の公式や定理を使って解くことさえ苦手だった学生時代だが、なるほどその完璧がないと認められないとは。でもやっぱり自分は算数までだ(笑)2014/11/04
ヴェルナーの日記
345
17世紀の初頭に現れたアマチュアの数理学者フェルマーが発見した予想を300年以上に渡り、予想から定理へと完成させていった。壮大なドラマを描いた1冊。フェルマーの定理を解明する中で2人の日本人が大きな役割を果たしていたことに驚いた(谷山=志村予想)。 自分は数学オンチなので、細かい公式とかはよく理解できないけれど、全く違う分野の事柄を結び付けてしまう発想が感動的。 最終的にワイルズがフェルマーの最終定理を完成させるが、そこに至るまでにパズルのピースを1つずつ嵌め込んでいった数理学者のドラマに感動した。2013/02/19