清十郎の目

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清十郎の目

  • 著者名:吉村龍一【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 中央公論新社(2016/12発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784120048425

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内容説明

山形のとある地方都市で、一介の労働者として生きていく上で最低限の生活を営んでいた青年・清十郎。成長するにつれ、成金や差別など不平等な社会に疑問を抱くようになり、ある日突然、持ち場を脱走してしまう。逃亡後の生活で、革命思想を持つ仏僧・剛寿や、寒村から身売りされた娼婦・桔梗との出会いに感化された清十郎は、日々困窮していく民を救うため、世直しを唱える剛寿のもと、町の支配勢力に立ち向かうことを決意するが――。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

160
吉村ワールド炸裂しちゃってます!あの『焔火』で見せた圧倒的な世界観をベースに本作もかなり昭和初期の血生臭い感をこれでもかと漂わせてくれています。少しばかり読みにくい会話が繰り広げられますが、すぐに馴染んでくるのも吉村さんの筆力ならではなのかもしれません。200頁ちょっとのボリュームが程よく、飽きるコトなく最後までイッキに読了させてくれます。相変わらず哀しいオトコとオンナの悲哀が描かれていますが、その雰囲気こそが醍醐味なんでしょうね。『焔火』と比べてしまうとパワー不足は否めませんが、読み応えはありました。2016/12/15

ゆみねこ

73
昭和初期の貧しい東北の農村の現実を、圧倒的な筆致で描く、吉村さんらしい骨太な作品。みなしごの清十郎、身売りされた娘・桔梗。ガツンと心に残る1冊です。2016/12/10

モルク

70
昭和初期、満州事変前の山形県最上地方。家族のために自ら郭に身を投じた桔梗。両親を知らず、貧困の連鎖の中でもがく清十郎。軍国主義が顕著となり思想統制され、正しいと思うことも訴えることが出来ない。自分達が正義という権力のもとに、暴力、拷問が行われる。今では当たり前の生活を願うことさえ出来ない。吉村さんの代表作「焔火」に比べると、確かに小粒で見劣りはするが、心に迫るものがある。豊かな現代に暮らす私達が忘れてしまったものを思い出させてくれる。短い作品ではあるが読みごたえがあった。2018/08/24

GAKU

67
吉村龍一さんの作品は「焔火」に次いで二作目です。「焔火」の印象が強烈だったのでそれに比べると、衝撃度は劣る。哀しい結末で救いようのないお話でした。2017/01/20

ナミのママ

57
色々な作風を持つ吉村さんですが、圧巻だった『焔火』、これは一番そちらに近いい感じでしょうか。昭和初期、階級差別が当たり前だった時代の、底辺の生活。もうこれでもかっていうほど「汚い」です。これが苦手な人にはお勧めできません。ストーリーも救いようがありません。まさに「プロレタリア文学」。しかし好きなんです。人間も動物であると、改めて思い知らされます。貧富の差、文盲、食べるために生きる・・・。あえて書かせてもらうなら、時代でなく貧富や階級の説明があった方がわかりやすいように思います。2017/01/10

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