内容説明
14歳の少女とビートルズの物語。
「オール・マイ・ラヴィング」とビートルズは歌う。
聴いていると、だんだんわたしは内側からわたしではなくなっていく。外側にくっついているいろいろなものを振り落として、わたしは半分わたしではなくなる。ビートルズに染まったわたしとなる。
《最初から最後まで、この本のあちこちからビートルズがこぼれてくる。ほんとうにこぼれてくる。本を閉じても、まだ聞こえる》――(江國香織・評)
ビートルズ日本武道館公演――50年前の「あの時代」を等身大の少女の目で見つめた感動の少女小説。夜行列車で、ビートルズ日本公演を観るために家出して東京へ向かう少女の姿に、思わず目頭が潤む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
友蔵
10
ビートルズ本なのかと思って読み始めたけれど何だか違う。。ビートルズに心を奪われて追い続けるも叶わず。母を早くに亡くし父と姉との三人暮らし。当時の時代背景を織り交ぜながら、物語は展開していく。ビートルズに会いに行く主人公の計画も敢え無く失敗に終わる。色んな人へのいろんな想いの詰まったさようなら。不器用でも何でも良い、皆んなそれぞれが一生懸命生きているからこそ、何気ない日常が一番素晴らしい。2024/04/13
KOU
7
ビートルズに関わるものとして興味があって手に取った。丁寧に当時の時代を書き込む作品として、書き手の力量が感じられる。一つのストーリーを書くというよりも、うまく表現できないが当時の空気感を伝えたかったというような印象を受ける。当時を生きていたわけではないが、なぜか共感できる不思議な物語だった。2018/06/19
ひかる
6
文章なのに、主人公である中学生の喜久子の周りが、関わるすべてのひとたちが、色づいている作品だった。色彩豊かな登場人物ばかりなのだ。もしかしたら、これは喜久子の感性から、そう見えてくるのかもしれない。父親、既に亡くなっているが母親、姉、ネコシマのニーさん、おばあさん、真山くん。そして、喜久子と同じくビートルズが好きな、白石さん。どの登場人物も自分の色を持っている。ゆるく、淡く、やわらかく続いていく話の中で、でも、1960年代の日本が、きちんと景色として見えてくる。勿論、ビートルズの曲達と共に。
岬
1
★★★2021/09/18




