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内容説明
純粋経験、自覚、場所、絶対無、行為的直観、絶対矛盾的自己同一……。一見、難解なことばにみずからの思索を託しながら、西田が終生追い求めたひとつの問題とは何だったのか。ほぼ同時代を生きたベルクソンとの交錯に着目し、ひいてはドゥルーズら現代思想につながる「生命の哲学」として西田哲学を再評価し、注目され続ける、俊秀の記念碑的力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
6
実は同時代のベルクソンに加え後世のドゥルーズとも重なる先駆的哲学者だった!という触れ込みで驚かすも、なんかよく解らない造語とフレーズを濫発して禅宗から数学まで走り抜けた思索は似てるのも当然か、と納得。主客を区別する個体が発生する以前の純粋経験から自覚へ至るプロセスは、連続した純粋持続の流れの潜在性が部分的に限定されて個体が現実化するベルクソンの世界観に近づき、「意識に対する無意識は微分のxに対するdx」などの定式化でドゥルーズ哲学を予示。西田の現代的な凄さを示した上に増補対談で戦争問題をツッコむ反省付き。2020/09/04
あかふく
3
講談社現代新書の方では「ベルクソン、ドゥルーズと響き合う思考」と副題が付けられていて、もちろんそれが特徴でもあるわけですが、西田幾多郎の著作を一冊一冊取上げ、何を問題としているかということを生命の哲学という視点の下明らかにしていくという点で、西田幾多郎の思想を理解するための本としても非常に面白いです。補章として「西田幾多郎と大正生命主義」、「生命と微分――西田と九鬼をめぐるひとつの考察」、解説にかえて小泉義之氏との対談「西田から「哲学」を再開するために」を収録。2012/09/13
遠野一義
2
ベルクソン、ドゥルーズと関連しているという紹介文に釣られて購入。西田幾多郎哲学の入門書としてなかなかの良書だった。個人的には九鬼周造と絡めて語っていた補章が一番面白く読めたかな。これを補助線として『善の研究』などに繋げ読んでいきたい。2014/09/18
yu-onore
0
いい本ゆえに買って検討したい。ベルクソンの持続と通じる、様々な個別化(微分)の契機が潜在的に含まれながら混沌となっている純粋経験を起点として考える思考(その先に場所もある)から出発しながら、それによる全体の想定(純粋無)における行き詰まりもあって、世界と個物との相互的な内側に無のある働きの中で世界が創造(ポイエシス)の中に可能性を見るようになる、のように読んだけど、細部の議論を繋ぎたいというか。大杉の、個人主義と全体としての生の拡充がつながるという思想がバロック的なのはなるほど感がある。2021/09/07