内容説明
伊東潤デビュー10周年の集大成
警察の父・川路利良大警視(現:警視総監)の生涯を描いた長編時代小説
明治維新――。それは、謀略渦巻く、弱肉強食の時代。
純粋な志を持つ男たちが、権力を握るや、醜い修羅へと変わってしまう。
薩摩藩の下層武士にすぎなかった川路正之進利良は、
西郷・大久保の走狗と化して、歴史の渦に巻き込まれていく。
そして、野心という魔物が川路の心を蝕んでいくのであった・・・。
鳥羽伏見の戦い、江戸城無血開城、西郷下野、佐賀の乱、大久保利通暗殺・・・
歴史の暗部を生きた川路利良が見た幕末・明治の真実とは・・・?
明治維新の謎が今、解き明かされる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
144
伊東潤は、新作中心に読んでいる作家です。戊辰戦争から明治維新の歴史小説は、たくさん読んでいますが、川路利良の物語は初めてです。515P、一気読みしました。走狗の役割に徹することで、立身出世した主人公が走狗の使い手となり、また最期は走狗に戻るといった皮肉のストーリーでした。本書のどこまでが史実か解りませんが、薩摩閥は長州閥の謀略に嵌ったのかも知れません。ところで野球選手の川崎宗則(鹿児島出身)がたまに使う「チェスト」は薩摩藩から歴史を超えて脈々と伝わっているですネ。2017/01/16
いつでも母さん
119
江戸から明治にー維新の勉強をさせられた感じ。何故だ?初代警視庁長官に上り詰めた男・川路利良よ!そりゃあ野心はあったさ。あの頃の男なら野心の一つ位持ったはず。だがいつの間にか『走狗』となっていたのだなぁ・・しかし、支えてきたはずの大久保に飼い犬に指図する犬と言われ、真剣で闘った男・斉藤一には負け犬と言われる。それでも『国家のため』を自らの御旗と仰ぎ行き着くところまで行ってしまったんだなぁ。『走狗』は考えてはいけない。だから哀しいよ・・2017/03/21
Shintaro
97
最近、歴史小説は伊東潤と木下昌輝だけおさえればいいと思っている。歴史小説を書く者は必ず西郷を書きたいと思うに違いない。しかし林真理子の著作は読みたくない。だからこれにした。本作は川路利良の大河小説。司馬史観を逸脱するものではなく、明治維新をおさらいしたような気分だ。明治維新は一つの革命であった。フランス革命のように反革命、急進、反動が渦巻く時代である。川路は西郷によって引き立てられた薩摩藩士であるが、結果的に西郷を死に追いやったのかもしれない。川路が何の走狗だったのか、それは本作読了後、じっくり考えたい。2017/12/03
Die-Go
93
図書館本。明治期の警察組織を作り上げた川路利良の生涯を描く。薩摩の下級武士である利良は大恩ある西郷隆盛の引き立てによって警察組織を作り上げていく。 その中で、いつしか国家権力の走狗となっていく。 全体的に暗い色調で描かれていて、利良に哀れさが催される。明治期の混乱の中で警察と言う昭和初期の暗黒面を受け持つことになる組織の予兆が窺われる。★★★☆☆2018/06/01
takaC
93
大河の『西郷どん』には今のところ当然ながら川路利良は出てきていない。大河ドラマはどこまで演るのか知らないので、いずれ出てくるのかどうかも分からないけど。2018/05/12
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