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内容説明
「金脈問題」で退陣する田中角栄の跡を襲った、「クリーン三木」の正体は、想像を絶する「政争の怪物」だった。翼賛選挙を非推薦で勝ち上がり、戦後の混迷する政局を泳ぎ回った稀代の策略家の実像とは? 「綺麗事を武器にしろ」「昨日の敵は今日の友」「もっと火を大きくしてこい」……三木武夫の権謀術数の数々を生き生きと描き出し、かつて日本政治にあったはずの「政治の定跡」をよみがえらせんとする文庫書き下ろし意欲作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
傘緑
48
「角栄が経営的センスのアメの政治家だとしたら、三木はムチの政治家である。三木は二十四時間政治の事を考えていると評されたように、徹底して政治的な人間だった…周囲は常に三木に振り回されている…生前の三木は『バルカン政治家』と呼ばれた」「現代の政治家とは明らかに異質な、”逞しい”政治家」世の角栄本ブームを殺した(!?)、角栄を殺した男・三木武夫の本という、政争家・三木武夫そのもののような本w シュミットの『政治的なものの概念』やツヴァイクの『フーシェ、政治的人間の肖像』と重ねて政治という劇薬を味わいたい本だった2017/06/16
たかしくん。
25
三木武夫ときくと、どうしても「自民党の唯一の良心」なるイメージが強いのですが、なかなかどうして。やはり、それ以上に権謀術数に長けた人であり、更に狡いことに、それを一般の有権者達に少しもそうは見せないこと。タイトルの通り、常に政争を持ち掛け、かつ、確りとした落しどころに運んでいくその手腕。ある意味、田中角栄よりもはるかに上手のポリュリストと言えますね!2017/02/26
軍縮地球市民shinshin
15
三木武夫(1907-88)という政治家の生涯を辿り「政争家」としての側面から分析をしたのが本書。おそらく倉山氏がちゃんと執筆した本だと(口述筆記等ではなく)思われる。随所に史料的根拠が示されており、一応出典は明示されている。通読して感じたのは三木という政治家の政治手法である。自民党内の派閥遊泳術が凄いとしかいいようがない。ただ首相在任中は「等距離外交」と称し、米中ソ韓と一定の間隔を平等にとっていた。その結果、前政権が親中の田中角栄だったものだから、結果として親米・親韓・親台になったと著者は指摘する。つづく2017/01/01
ランラン
9
地味な印象の政治家だが、「バルカン政治家」「三木おろし」「孤立無援」と政治家を語る上で言葉や代名詞に事欠かない政治家だった。著者は田中角栄ブームに釘を刺す目的で三木武夫を取り上げたとのこと。田中角栄は幹事長、大蔵大臣までは良かったが国家の指導者には向いていなかった。一方の三木はというと評価が難しい政治家であると言っている。親中派を的に回し米国なとバランス外交を展開したが上手くいったとはいえない。総理退陣後は大平を死に追いやり、自民党を混乱させる老害でしかなかったと切り捨てる。2019/10/27
OjohmbonX
6
非主流の少数派閥でも、上手に争点を作り出してキャスティングボートを握っていく。権力の中心でも周辺でもなく、亜周辺に留まるようにバランスを取って、最終的には首相になる。首相になるにしても色んな戦略があるんだなと思うと面白い。評価が低くても派閥の長や首相になる政治家はやっぱり普通じゃないことをしている。著者は人物や物事を単純な認識やストーリーに押し込めて、簡単に断罪・断言する。しかしそれは複雑さを正確に整理して単純化する営みとは似て非なるものだ。本書はそのため、解説としても資料としても水準が低い。2020/10/01
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