内容説明
物質からできている脳に、意識が宿るなら、究極のコンピュータは意識をもつか? 脳とコンピュータは、どこが同じで、どこが違うのか? 人間は、意識をもつコンピュータを創ることはできるのか? それとも、脳は永遠のミステリーなのだろうか? 脳とコンピュータを比較しながら、認識、知能、意識の根本に迫る、脳科学とコンピュータ科学のユニークな入門書。
目次
はじめに
第一章 脳とコンピュータはどう違うのか?
第二章 コンピュータの動作の実際
第三章 脳の動作と機能:反応選択性
第四章 ニューラルネットワーク
第五章 ニューラルネットワークの数理
第六章 脳の中の生成のプロセス
第七章 コンピュータ内で情報はどのように表現されるか?
第八章 神経活動による情報のコーディング
第九章 脳のミステリーと未来のコンピュータ
あとがき
参考図書
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
獺祭魚の食客@鯨鯢
60
コンピュータが不得手にもかかわらず、職場の情報機器担当に。今日は新しい複写機の入れ替え後の再設定をマニュアルを見ながら、IPアドレスや機器のIDを入れて…。ようやくうまくいった時はAIに弄ばれているような気分になりました。 これまでウイルスと言えばコンピュータウイルスでしたが、今は人間の命を蝕むコロナウイルスです。 便利で快適な環境に依存し過ぎると、破綻した時取り返しがつかなくなるのはどちらも同じ。 人間の時空を超える活動に待ったを掛けられたのはどういう意味を持つのか後の歴史家にしかわかりません。
kaizen@名古屋de朝活読書会
13
#感想歌 計算機一テラ脳より量多し複雑度でも超越可能 p.s. 脳:1000億ニューロン。数千のシナプス結合。3次元配列 。チューリングテスト。 人間とコンピュータを質問で見分けられるか。 サール 中国語の部屋。中国語での質問に、英語での操作で解を見つけて回答する。2017/09/18
Pustota
8
クオリアのことについて書いたものをちゃんと読んできてないので、2種類のクオリアや、ニューロン活動の変動性とクオリアの安定性などは、わかりやすく面白かった。「脳とコンピュータはどう違うか」は手が届きそうだとしても、「コンピュータは意識をもつか」はそもそも脳で意識が生まれる理由が分かってないのでどうしようもない。この表現がタイトルについていること自体に疑問を感じる。2021/07/20
nchiba
5
脳とコンピュータが大きく違うのは、脳が必ずしも外界からの入力を額面通りに解釈していないということだと思う。そこにはある種の「決めつけ」があって、人は脳内の情報処理のほとんどをその「決めつけ」で行っているのではないだろうか?感覚的クオリアと志向的クオリアが分かれていて、志向的クオリアによる処理の領域が大きいのが人間の脳の特徴だとすると、コンピュータの中にも自らイメージを作り出して処理するような機能が必要ということなのだろう。コンピュータが意識を持つかどうかはそのあたりに秘密がありそうだな。2010/12/24
白黒
4
脳科学や人工知能に興味だけあって踏み込んでいなかったのだけど、ふとしたきっかけがあって読んだ。ちょうど自分が知りたいと思っていたこと、知ってはいたけど整理されていなかった部分をまとめていてよかった。脳とコンピューターの類似点相違点から始まり意識の所在、意識とは、といったともすれば哲学的な内容を含み、(現時点での)脳科学の限界と情報科学(コンピューター)の限界も必要に応じて随所にまとめられていて上手くまとまっていたと思う。『脳』というものの素晴らしさを改めて感じ『コンピュータ』の潜在的能力値に驚かされた。2014/10/02