講談社学術文庫<br> カント「視霊者の夢」

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講談社学術文庫
カント「視霊者の夢」

  • 著者名:イマヌエル・カント【著】/金森誠也【訳】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 講談社(2016/12発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062921619

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内容説明

理性によって認識できないものは、形而上学の対象になりうるか――。哲学者カントが、同時代の神秘思想家スヴェーデンボリの「視霊現象」を徹底的に検証。当時高い世評を得ていた霊能者へのシニカルかつ鋭利な批判を通して、人間の「霊魂」に対する哲学者としての見解を示す。『純粋理性批判』に至るステップとなった、重要著作。

目次

訳者まえがき
詳述する前に、きわめてわずかなことしか約束しないまえがき
第一部 独断編
第一章 好き勝手に解きほぐしたりあるいは断ち切ることができる混乱した形而上学的な糸の結び目
第二章 霊界との連帯を開くための隠秘哲学の断片
第三章 反カバラ。霊界との共同体をとりこわそうとする通俗哲学の断片
第四章 第一部の全考察からの理論的結論
第二部 歴史編
第一章 それが本当かどうかは読者の皆さんの随意の探究にお委せする一つの物語
第二章 夢想家の有頂天になった霊界旅行
第三章 本論文全体の実践的結末
参考資料(1) 『神秘な天体』(抜粋)
参考資料(2) シャルロッテ・フォン・クノープロッホ嬢への手紙
訳者あとがき
学術文庫版の訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

42
霊的存在は、肉の身の我々には見えないし触れることはもちろん不可能。だが、同時に、霊的存在だって、我々を観ることも触れることもできないはず、という着想は自分には新鮮な驚きだった。まあ、霊感の強い人は霊を感じるのだろうし(敢えて否定も肯定もしない)、だとしたら、肉感の強い霊的存在は肉の身の我々を見、感じ、交流しようとするのだろうか。2019/09/11

ころこ

39
カントからすれば、この世の表象(認識の網目)が、あの世も同一であるという一点だけでも論破したというところでしょう。なぜ、我々は死後も何らかの形式で生前と同じように存在すると考えるのか。カントはその様な生者の問題として考えました。本書が独断編と歴史編に分かれているように、先験と経験の超越論にとっては、霊感はあまりにも安易にみえたことでしょう。と同時に、霊感には超越論に似た直感があることにシンパシーを感じていたからこそ書く動機にもなったはずです。着眼点は良い、だが、スヴェーデンボリの与太話にはウンザリだ。2019/12/08

Major

21
 端的に「あなたは幽霊(霊魂)を視たことがありますか。霊の世界が実在することを信じますか。」という問いに、医学的科学的な知識を取り込みながら、まさに哲学的に丁寧に論及している若きカント42歳の時の著作である。その当時、北欧スェーデンのキリスト教神秘主義者スヴェーデンボリの視霊体験(彼の著作を読む限り、現代時折話題になる臨死体験に共通するような状況も多分に見受けられる)及びその主張に対する批判的論究をその中心的内容とする著作である。(コメントに続く)2014/01/07

またの名

11
大震災も予言的中した視霊者に「オカルトを断固否定する方が非科学的で非理性的!」という擁護を向けるかのような雰囲気を見せながら、同時に、私だってこんな馬鹿丸出しフラワー畑の電波文章を真面目に読んでるだけで気が狂いそうなわけだが……と断り書きを入れないと気が済まないかのようなカントの小著。傍目には相当ご執心と見える対象のことを悪しざまに表現しながらでなければ語れない二重態度のツンデレで哲学者が述べてる重要ポイントは、柄谷理論によると、複数の視点が相反するからこそ生じる視差Parallaxにより見えてくる次元。2021/09/04

ハチアカデミー

9
スウェーデンボルグの霊界報告を哲学者カントが論理的に論破する! と思いきや、批判しつつも、魂(=霊)の謎が人智を越えたものである以上、「将来人々はたしかに霊について色々と考えはするだろうが、もはや多くを語ることはできない」と留保を下す点が本書の読みどころである。理性には限界がある。霊界を語る者はその存在を理性的に語るが為に誤りを犯している。そして、その背後には、人間の思考に大きな影響を与える「道徳」があり、物事をそのように見せているにすぎない。語り得ぬものがあること、つまりは理性の限界の提示が主眼である。2013/06/07

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