朝日文庫<br> 定義集

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朝日文庫
定義集

  • ISBN:9784022648334

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内容説明

源氏物語、ドストエフスキー、レヴィ=ストロース、井上ひさし。人生のさまざまな場面で出合った忘れがたい言葉を書き写し、読み直し、自前の定義をする。ノーベル賞作家による評論的エッセイの到達点。【巻末エッセイ・落合恵子】

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かふ

18
朝日新聞に連載されたコラム。大江健三郎の「レイトワーク(晩年の仕事)」の一つだろう。「定義集」とは、大江が障がいを持つ息子のために彼の生きるための必要なコトバを定義集として集めていたが息子は人のコトバより鳥のコトバの方が好きだった。そして彼は音楽のコトバのほうへ道を切り開いていくのである。それでも定義集を止めなかったのは作家自身のためでもあったのだろう。「新しい小説を書き始める人に」というエッセイが繰り返し書かれるのはその為でもあるのか?パスカル『パンセ』やモンテーニュー『エセー』のような本。2023/04/14

belier

3
新聞連載された晩年のエッセイ集。連載期間中に、『沖縄ノート』を巡って沖縄集団自決裁判があり、国内は普天間基地移設問題で紛糾し、東日本大震災、福島原発の事故があった。大江が60年代からこだわり続けた核と沖縄の問題は、過去のものとならず、晩年まで書き続けねばならなかった。最後のエッセイで、引用が多すぎるという投書があったとぼやいているが、その投書者はわかっていない。引用こそ大江本人が示してくれる、この巨大な小説家を深く知る手がかりであるし、大江ファンでない本好きに対しても素晴らしいブックガイドとなるはずだ。2024/12/11

いのふみ

3
自分の生活や過去未来を思い返し、ふたたび深く考えるということが、結果として他者へのメッセージにもなっている。極私的であるということが、普遍的なものへ繫がるという営み。そのメッセージは他者を強く鼓舞するのではなく、人にゆっくり考え、促し、押し出す力になる。2017/05/15

たけし

2
毎日少しずつ読んだ。新聞連載なので、ひとつひとつはすぐ読める。引用が多いので、その本をいくつか、いや、結構Amazonで注文した。著者の丁寧な言葉選びが、自分の考え方に丁寧さを与える、朝の短時間の読書に最適の本だった。2024/05/27

いのふみ

2
民主党政権、阿修羅展など、リアルタイムに記憶のある出来事が出て来て、改めて大江さんが同時代の人なのだと感じられる。であるからこそ、大江さんのように多様な本を深く読み、思考したい。小説のアクロバティックな手法とは違って、エッセイは奇をてらわず、じっくり押していくその思考はまっすぐで、しなやかだ。派手ではないが、牛のように堂々とした文章の佇まい。2021/10/04

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