内容説明
竜と絆を結びし人々――竜使い。彼らの故郷である翡翠の里が一夜にして滅びた。ただ一人生き残った少女ミュースは、里を滅ぼした者たちへの復讐を誓い、旅に出る。そして二年。〈千年凍土〉の奥深くで、かつて三つの国を蹂躙した禁断の黒竜シャグランの封印を解き放つ。美しい青年の姿で現れたシャグランは、ミュースに問う。「俺が欲しいか、小娘」それが大きな罪であると知りながら、ミュースは頷く。「いいだろう。ならば、俺はおまえのものだ」悪鬼にも等しい竜を道連れに、ミュースはゆく。これは、血と慟哭と、愛の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
60
過酷な運命を背負った竜使いの少女、ミュース。黒竜シャグランを従え、闘うべき相手へと迫っていく。この人間(?)関係の描写がかなり急ぎ足になってしまっているのは残念だが、ミュースを復讐へと突き動かすものが何か明らかにされるうち、読者は彼女に同情せずにはいられなくなるだろう。まっすぐなミュースに惹かれ、力を貸すものはこれからも多いに違いない。武運を祈って見守りたい。2016/11/26
まりも
36
竜と絆を結ぶ人々が住む里の唯一の生き残りの少女が、里を滅ぼした者たちに復讐するため、黒竜と契約を結ぶところから始まるファンタジー物語。色々と残念なところもあったけど、なかなかよく出来ていますね。衝撃的な真実を明かされながらも、過酷な運命を乗り越えていくミュースの姿は眩しく、そんな彼女の持つまっすぐさがとても素敵だと思いました。シャグラントの絆を深める過程をもう少しじっくり描いて欲しかったけど、読み応えは十分あったし、今後も期待したい。作者さんらしい温もりを感じることのできるいい作品やね。次巻も出たら読む。2016/12/05
よっち
31
竜と絆を結ぶ竜使いの故郷・翡翠の里が一夜にして滅びた。ただ一人生き残った少女ミュースは、里を滅ぼした者たちへの復讐を誓い、黒竜のシャグランの封印を解き放って旅に出るファンタジー。里の王であった父や姉を殺した仇としてユージーンを追うミュースと、彼によって解き放たれ美しい青年の姿で現れたシャグラン、長らく彼を封印していた白蛇による旅。姉の婚約者との対決では辛い現実に動揺しましたが、それを乗り越えて見事打ち勝ってみせた彼女には応援したくなるものがありますね。なかなか業の深い因縁を抱えている物語ですが今後に期待。2016/11/26
ぐっち
18
氷の中に閉じ込められていた竜の封印を解いたミュース。竜とともに里を滅ぼしたユージーンへ敵討ちをするために。でもユージーンとミュースは…。なかなか雰囲気のあるファンタジーでした。いろいろと複雑な過去が解き明かされていないので続きもあるかな?2016/12/30
ホシナーたかはし
14
再読したので改めて。双子の弟に復讐を誓うミュースは黒竜の封印を解く。そこから物語は始まります。ありきたりな異形×少女の復讐譚かと思いきや、内容がとってもえげつないです。特に父親とお姉さんのピー(ネタバレの為伏字)、それも双方同意の上。私には、まだはっきりしていない黒竜の罪深さ・恐ろしさよりも、お姉さんの方が怖いと思いました。MW文庫で久しぶりに手ごたえのある欧風ファンタジーもの、次回も期待してます。2016/12/06