内容説明
北海道より少しだけ広い島国だが、魅力を表す言葉は果てを知らない。それがアイルランド。ケルト文明の地、スウィフト、ワイルド、イェイツ、ジョイス、ベケット、ヒーニーらによる世界文学の生地、ヴァン・モリソンやU2が歌い上げる音楽の島、「虐げられてへつらう者たち」、英国からの独立闘争の国――。一木一草に至るまで言葉が刻まれているこの土地を、達意のエッセイと美味しい訳文でまるごと味わい尽くす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
115
帯に書かれていたのは”文化の聖地”の魅力を言葉で辿る、実際の度にも空想の度にも使える書。私には後者の空想の旅の書になる。現実に金銭的にも行ける場所でもない。そこがどうして気になったのかはたまたま読メに参加されている方の感想を読んだから。アイルランドの地理や文化、そして文学者を多く排出した国、風お強い男らしい国、そんなことをこの紀行は教えてくれた。もう一度読み直してみたい。その時は他の本と、グーグルを使って空想旅行を満喫してみようと思った。良書2022/05/17
アキ
102
1969年北アイルランド紛争を背景にした映画「ベルファスト」を観て、アイルランドに因む本書を読んだが、とても良かった。ユーラシア大陸で日本と反対側の島。イングランドから1921年独立したが、ケルト文化が色濃く残るアイルランド語は現在人口の2%にしか話されていない。ノーベル文学賞はW.B.イェイツ、バーナード・ショウ、サミュエル・ベケット、シェイマス・ヒーニーの4人。ダブリンがあるレンスター、西部コナハト、南部マンスター、北部アルスター、地名と小説・詩・映画の引用と訪れた記憶を交えたポケット・アンソロジー。2022/04/10
buchipanda3
101
これはもう文学を味わう旅エッセイという感じで、読み終えたらアイルランド文学の魅力にすっかり憑りつかれていた。特に「ハコモノを追うな、ひとを追え」という著者のアイルランドの旅の鉄則の通り、かの作家や詩人たちに纏わる地を訪れ、その場のエピソードを絡めながら作品の文脈を追うというのが良かった。小糠雨にけぶる街ダブリンでジョイス文学散歩、メリオンスクエアのふんぞりかえるワイルド像、イェイツの文化的な独立を試みた跡など観たいものや感じたいものだらけ。ギネスに酔いしれながら妖精の国の言霊に浸ってみたいものだ。2020/11/30
どんぐり
83
東部はダブリンとレンスター、西部はコナハト、南部はマンスター、北部はアルスター、そしてベルファストを隈なくめぐるアイルランド紀行。著者は紀行文の名手の栩木さん。詩人イェイツ、ギネス醸造所の展望スポット、3つの大聖堂の謎、アイルランドきっての文化サロン「クール荘園」、ディングル半島の雄大な風景を映像にとらえた映画〈ライアンの娘〉、アイルランドの「じゃがいも飢饉」と海外への移民など30篇。→2022/05/02
キムチ
45
アイルランド・・遠い国、そしてIRA。その程度の知識しかなかった。外郭的な紹介ではなく、極めて内奥的。さもあらん、この国の文学的な特徴を研究し、訳書も出している方のペンになっている。国土が持つ風土からくる香り、歴史(紛争や移民を中心に)などを豊富な詩や文学作品の抜粋とともに紹介していく。この国を知るきっかけになったのは「ライアンの娘」から始まりスティーブンレイ「クライングゲーム」リーアムニーソン「マイケルコリンズ」DR「ルイス「マイレフトフット」等そしてU2の音楽。深い抒情にあふれた1冊2015/07/02
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