内容説明
第一次大戦後のドイツ、タウトは貧困にあえぐ労働者のための集合住宅を華やかに彩り、「色彩の建築家」と呼ばれた。しかしナチスの圧迫を逃れて来日、白木の建築に感銘を受けて、日本美の紹介に努めた。その後トルコに招聘され、新しい様式の建築を展開した。激変する環境のなかで変容を重ねる作品を紹介しつつ、妻と秘書の二人の伴侶、建築家であった弟と子供のことなど複雑な人間関係を解明し、五八年の生涯を辿る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
16
タウトは26歳にして結婚。 (言い方は悪いが、) ライヴァルを蹴落すとともに、 良い仕事まで成し遂げる。 ある意味、負けた男性には同情するが、 後々まで名を残すのならそれぐらいのヴァイタリティはやむなしか。 1920年代、タウトは表現主義建築家として活躍(73頁)。 タウトは本のなかで写真を多用することを視覚言語と称している(75頁)。 1980年はタウト生誕100年。東西ドイツでタウト展開催(101頁)。 洗心亭の床の間とその裏側はタウト筆の素朴なタッチの絵(107頁)。 2014/03/23
Nobu A
7
図書館本を流し読みで読了。あまりにも有名な「日本美の再発見」(実は、未読)の著者であり、ドイツの建築家の幼少期から晩年、日本滞在中の交友関係や暮らしぶりを含むブルーノ・タウトの人物伝。多文化共生の走りだと思う。「徒然草」や「源氏物語」を読み、日本文化を理解し、全く違う視点から日本の建造物を評価。彼の建築物は鮮やかな彩色と窓枠が特徴。日光東照宮のような建築物は他の国でも珍しくないが、比類なき傑作と言わしめた桂離宮と彼の唯一の作品、熱海の日向別邸には一度訪れてみたい。2016/06/27
tsubomi
6
2015.11.09-11.18:ドイツの建築家であるブルーノ・タウトの家庭環境、交友関係、思想、若いときから晩年までの作品を紹介したもの。日本での暮らしぶりの他にドイツやトルコに残る作品群を数多く紹介していて興味深い内容でした。日本に来る前は色彩の魔術師のようなカラフルな集合住宅などを手がけていたことがわかり、またイスラム建築に影響されてドーム型屋根を持つ建物を設計したりしていたのは新鮮。日本では暇すぎて執筆活動に専念することになり、トルコでは忙しすぎて全く執筆せずに急死してしまったのは運命の妙。2015/11/18
isao_key
4
日本建築の美を再評価した人物として知られるドイツ人建築家ブルーノ・タウト。タウトの人物像と残した足跡を残された作品やゆかりのあった人たちへの訪問などから丹念に明らかにしてゆく労作。著者は京都大学でタウトを題材にした博士論文を完成させたとあるが、全編にタウトに対する愛情を感じさせる。残念なのは、同じ説明が間々あることと年表がなかったところ。本文の記述を見ると1934年8月末から9月にかけて『徒然草』『方丈記』『奥の細道』『源氏物語』を読んでいたことが分かる。日本の精神性を深く理解しようとしていたとも思えた。2013/12/08
ネムル
4
タウトの人生や複雑な人間関係のまとめ。家族の墓の写真やタウトの死亡診断書なんて変わった資料。子孫たちへの簡単な会話とか筆者の滞欧エッセイ。という所に着目すればそれなりに面白いが、タウトの建築論についてはほとんどわからない。帯裏に「色彩の建築家は何故白木の美に惹かれたのか」とあるけど、それについてのタウト自身の答えが「日本人の和服は非常に派手である。それに対し、ドイツ人の服は非常に地味である。したがって、派手な和服には白木の建物が合い、地味な服装には着色した派手な建築が似合う」じゃねーよw2013/05/28
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