内容説明
小説を読む愉しみが、しみじみ味わえる名作。卓越した筆致。言葉が紡ぎだす小説という世界に、するりと入りこんでしまいます。表題作は、木山捷平賞、野間文芸新人賞受賞の著者にとって、数少ない恋愛小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
64
帯に書かれている小説を読む楽しみ…と言うのがわかる気がした。甘いところがない苦さばかりなのだが、そこが人間の本性のような姿を見たような。女は子宮の奥で物事を考える。好きとか愛してるとかいろんな想いが身体の芯で判断されていく。他人から見たらなぜそんな男にうつつを抜かすのかと言われても、言葉にできないのが男と女の永遠の謎かもしれない。なんだかくたびれた男ばかりが出てきた気がする。男の逃げ道は、やはり女なのか。あまり綺麗さを感じない、恋愛というより、人間の持つ本来の性を題材にした人間小説だった気がする。2015/03/15
みさどん
11
優しくもない前向きでもない主人公たちの声が哀しい。そんな短編集だった。彼や彼女たちのような毎日は、淡々として苦しいもののよう。物語には、主人公に変化をもたらす事件が起き、それを通して主人公がより良くなることが多い。しかし、大人の読み物には、何も起きない、日常の姿があるだけというものがあって、これがまさにそうだと思う。日々を気持ちの良いものにしていきたい。これを読んで強く思った。2016/09/22
ヒロくま
1
大人の恋愛小説短編集、少しも甘い所が無く淡々とした男女関係が、生々しく切実に感じられる。2012/10/05
Toshi
0
前知識なく読んだ、すっごく面白かった。2009/12/30
Takashi Kikuchi
0
思い当たる話ばかりです。2013/12/31