内容説明
明治初年幼くして上州館林から上京、丁稚奉公から始まる苦しい文学修行を経て『蒲団』『田舎教師』などを著し、日本自然主義文学の代表的作家となった著者の文壇回想記。島崎藤村、柳田国男、国木田独歩等との交友、明治から大正への激動する時代の新思潮、生、死を縦横に捉えて、自然主義文学の盛衰、文壇の側面、数十年に亘る〈東京〉の風俗・文化・市街風景の変遷変貌を生き生きと描く。
感想・レビュー
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坂津
2
本編は10年ほど前に岩波文庫で読んだため、講談社文芸文庫に収録されている坪内祐三の解説を論じたい。当初は坪内も、福田恆存が批判的に言及していたのと同様に、花袋のことをダサくて凡庸な人物だと認識していたが、『東京の三十年』を通読して花袋の頭の良さを理解することが出来たという。過去の事実を振り返る体裁の『東京の三十年』において、嘘とは言わないまでもある種の情報操作が混じっており、一例として、藤村や独歩が世に出ていくのと己の境遇を比べて取り残されたように述懐する場面が取り上げられている。2026/01/25




