講談社文芸文庫<br> 樹影

個数:1
紙書籍版価格
¥1,540
  • 電子書籍
  • Reader
  • 特価
  • ポイントキャンペーン

講談社文芸文庫
樹影

  • 著者名:佐多稲子【著】
  • 価格 ¥1,463(本体¥1,330)
  • 特価 ¥499(本体¥454)
  • 講談社(2017/01発売)
  • 梅雨を楽しむ!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~6/14)
  • ポイント 120pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061960091

ファイル: /

内容説明

被爆地長崎。敗戦後3年目の夏、華僑の女柳慶子と画家麻田晋は出遭った。原爆病に脅かされる2人はいたわり合い、自らの生を確かめるように愛し合い、10数年の苦痛の果てに死んで行った。著者の故郷長崎の、酷く理不尽な痛みを深い怒りと哀惜をこめて強靱に描く。原爆を告発した不朽の名作。野間文芸賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

24
原爆後の長崎に入って、のちに原爆手帳を持ち、体のわずかな変化、奇妙な斑点の一つにも後遺症を疑わずにいられない二人の男女の、しかし同病愛憐れむような感傷とは正反対の、互いの差異と懸隔があらわになるような関係、それはたとえば、男が死の間際に描いた単色の絵に見える孤独の深さに女がついに最後まで気づかなかったこと、あるいはまた、女の在日中国人(華僑)という出自が、存在の拠り所となっていることに男が無頓着だったことにも現れる。墓石が皆同じ方向に靡き伏している荒涼たる瓦礫の中で寄り添いつつも、二人を隔てるものは重い。2026/04/28

安南

22
長崎には『樹影』の碑があるという。そこには作品の一節「あの人たちは何も語らなかっただろうか あの人たちは本当に 何も語らなかっただろうか あの人たちは たしかに饒舌ではなかった それはあの人たちの 人柄に先ずよっていた」と刻まれている。目には見えない放射能に身体を内から蝕まれる被爆者たち。その苦痛、恐怖、語られることの無かった絶対的な孤独を一組の恋人達を主人公にリアリスティックに執拗に描きだしている。二人が身体の不調を自分等の屈託に因を求めて原爆症という絶望を直視しないようにする様は読んでいて辛かった。2013/08/13

あや

19
政治がきな臭い。そんな時に読み返したい作家佐多稲子。私は『樹影』で卒論を書いた。佐多稲子は長崎出身だが被爆はしていない。当事者から聴いた話で本書を書く。被爆した華僑女性と画家の道ならぬ恋。やがて華僑女性は原水爆禁止運動に身を投じてゆく。受動的な恋愛より自身が主体的に関わってゆく運動にのめり込む心理はよくわかる。愛にのめり込む心理も愛を引き裂いたものの心理について卒論に書いてAを貰った。指導教官は佐多稲子研究第一人者のおひとり小林裕子先生であった。小林先生の御著書は卒業しても追いかけている。2026/04/23

トッシー

5
先日読んだ「新版ナガサキ―1945年8月9日」の中で紹介されていた本です。長崎出身の佐多稲子、名前は知っていましたが小説は初めて読みました。戦後間もない長崎で出会った画家と華僑の女性。被爆、後遺症、在日外国人、不倫といった深い痛みを心の奥底に抱えながら愛し合い、死んでいった二人。「この人たちは饒舌ではなかった。(…)それほどこの人たちの苛立ちと恐怖は二人の間でさえ形になし得ないものであった。それはただ微妙なかげりとして意識されつつ自分自身をさえ瞞着するものであったろう。この折り重なった屈折…。」(p.8)2020/08/16

あや

5
長崎に住む実在の華僑の女性と既婚の画家の被爆したあとの道ならぬ恋愛と恋愛を通り過ぎて原水爆禁止運動に身を投じて行く華僑の女性をモデルにした原爆小説。放射能の脅威を静かな筆致で描く。物語の中盤に語り口調が突然佐多稲子さんの叫びと思われる1行が立ち現れる瞬間がある。何度も読み返したけど静かな筆致の中でそこだけ凛と主張する譲れないメッセージを読み取ってほしい。2020/03/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/433855
  • ご注意事項

最近チェックした商品