内容説明
衰退一途の日本のジャーナリズム。その根本の病巣こそ「記者クラブ」である。広いスペース、税金から支出される通信費、光熱費……。官公庁から便宜供与を受けて他のメディアを締め出すさまは、中世のギルドさながら。果たして彼らに自浄作用はあるのか? 健全な民主主義のため既得権を抉った渾身の書!(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
西澤 隆
4
読了してひしひしと感じるのは、メディアの中にも階層はあり恨みは強いのだということ。ハイヤー常に待機のハイソな朝日新聞に、週刊誌を主戦場とするフリーライターが「オマエらおかしいだろ!」な強い「恨」を持っているのが伝わってくる。ただそれをチラシの裏の罵詈雑言ではなく例えば都庁の記者クラブの平面図や家賃・費用の資料など、読む人間も判断できる形の「記事」として呈示したあたりが、泥仕合をやった本多勝一のように「正しいことのためには手段はどうでもいい」スタンスのひとよりずっとジャーナリズム。「反対から見る劇薬」かな。2019/06/03
k.t
2
日本の「新聞」がどういう形で政治家や官僚、大企業などに飼われているかを書いている。海外のジャーナリストからは官報とまで言われるのはなぜなのか? ここのジャーナリストというより、根本的な構造に問題かあるのたろう。 これを読んでもなお、新聞には期待している。悪いことは悪いと言える、そんな新聞社が出てくることを祈ってる。2015/06/21
うたまる
2
「新聞が面白くない理由」とは、なんて遠慮がちなタイトルだろう。全編を通読すれば「~が信じられない理由」「~が腐っている理由」「~が不遜な理由」等の方が相応しいと気づく。まあ、システムも組織もあれもこれもみんなダメなんだけど、やはり根源的には人がダメみたい。「彼は、朝日の名刺を持つことで、(中略)一段上に立てたというんですね。すごいネジ曲がったエリート意識に辟易としましたが、こういう人が少なくないんです」そして、あからさまに830万部を支える購読者を馬鹿にしているのに、未だ朝日新聞を止めない人もダメだ。2015/03/11
depo
1
日本は報道の自由度が田の先進国に比べて低いのは、変な法理を作る政府の責任だとマスコミは批判しているが、マスコミ各社は政府機関や警察、地方自治体ごとに「記者クラブ」を作り自分たちの既得権益をまもるため、記者クラブに所属しない記者を、記者会見にも参加させないようにしている。これでは報道の自由があるはずもなく、マスコミ自身が報道の自由をなくしているのに、政府に転嫁し批判する。2019/08/25
ozapin
1
90年代の本なので、ちょっと古かった。もちろん構造的な問題は引き続きありそうだが。2015/04/26
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