内容説明
しんと静まった闇の中に、五十数年生きている真琴とほんの少しだけ若い私がいて、しかし私たちは少しも自分のことがわからないのだ。男と出会って一緒に暮らしたりささいなことで別れたり、やっぱり一人がいいと言ってみたり、一方ではどこか別の場所で生きることを夢みたり。そのわからない自分の姿を、もし見られるものなら見たいという真琴の願いが私にもすんなりとわかるのだ。――(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hisashi Tokunaga
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「大田文学ってどう」;「ジロに降る雪」イントロに延々(?)と続く大田市場に行き行く周辺描写。いろいろなにおいの入り混じる描写。フェンスの鉄錆の匂いまで写し取った。ここまで、風景を描写することのできる主人公ってどんな生きざまを見せるのだろうか?と、期待に弾ませるイントロでした。心象描写の優れた小説の一つと言えようか。大田文学の中では長編描写の一つに挙げられる。2015/06/07
あきぷぅ。
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(図書館)2013/08/10
KUAD
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「ヒソリを撃つ」は熟読。「午後の蜜箱」は流し読み。残り1編は未読。 「ヒソリを撃つ」50代の女性が二人の仲良くなったり、ちょっと離れたりする物語。動きの無いあまり面白くなさそうな設定なのだが、それはともかく当初何の世界観もなくただ冗長に平凡な描写を続けるから読むのが苦痛だった。何の謎も興味をひくお膳立てがある訳じゃない。この人、駄目だ、独り善がり過ぎると思った。2011/10/21