内容説明
大寺の家に、心得顔に1匹の黒と白の猫が出入りする。胸が悪く出歩かぬ妻、2人の娘、まずは平穏な生活。大寺と同じ学校のドイツ語教師、先輩の飲み友達、米村。病身の妻を抱え愚痴1つ言わぬ“偉い”将棋仲間。米村の妻が死に、大寺も妻を失う。日常に死が入り込む微妙な時間を描く「黒と白の猫」、更に精妙飄逸な語りで読売文学賞を受賞した「懐中時計」収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ばう
65
★★★ 『黒いハンカチ』を読んで以来ずっと気になっている小沼丹の短編集。“作られた話”3篇と私小説的な話8篇が収められているけれど前者では『エジプトの涙壺』、後者では『黒と白の猫』が心に残る。なんということはない、静かな物語だけれど余韻にいつまでも浸ってしまう。巻末に作者自身の言葉や作者についての詳しい解説が載っているのも嬉しい。2023/12/04
ちゅんさん
44
いい短編集だった。 死の香りがしたり少し不思議なことが起きるが全体的にはなんてことのない話が多い。何がそんなによかったのか、説明出来ないがとてもよかった。2024/05/16
ちえ
32
作者の小沼丹氏は初読。何冊もの本を読みかけ途中で投げ出しを繰り返していた10月、積んであった本書を読み始め(こんな本が読みたかったんだ…)と思った。私小説のような作品とミステリ的なものと、それぞれ趣は違いながら、どちらも自然と「あぁ、これは上質だ…」と、そんな「上質なもの」に心が飢えていたのかもしれない。解説もとても良かった。作者の本はこれからもゆっくりと味わっていきたい。2025/11/03
Roy
23
★★★★+ 地面にどっかりと腰をおろしている小説である。それは怠惰ということでなくて、地面に接する面積が多いという事、即ち生きている者の生活が誠実に描かれている。言うなれば四角錐なんだけれども、そこに何らかの死が通過していく。四角錐に落とされた雫のように、重力に逆らわず通過するのだ。どれも良いのだけれど「黒と白の猫」「蝉の脱殻」「砂丘」「影絵」「ギリシャの皿」がとりわけ好きです。2009/06/29
Nobu A
14
小沼丹著書初読。91年刊行。読書会の課題本。会合の良さは未知の作家との出合い。強制的に食わず嫌いが矯正されること。読書中、短編集なのか各章繋がっているのか判らなかった。あとがきに執筆時期によって関係性の強弱があるのと理解。生物や物を題材にし、例えば猫や懐中時計(「猫は何やら心得顔に」や「時計を失くした」でなく「時計がなくなっちゃてね」)の視点からの描写が特徴的。また「テエブル」や「ビイル」等、カタカナ英語の表記も独特である意味風情を感じさせるが、内容的にはすっきりしない。それが情緒と言えばそうなのかも。2024/01/13
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