内容説明
《あかずの扉》の向こう側に――本格推理の宝物がある北澤大学新入生のぼく=二本松飛翔(かける)は、サークル《あかずの扉》研究会に入会した。自称名探偵、特技は解錠などクセ者ぞろいのメンバー6人が、尖塔の屹立(きつりつ)する奇怪な洋館“流氷館”を訪れた時、恐るべき惨劇の幕が開く。閉鎖状況での連続殺人と驚愕の大トリック! 本格推理魂あふれる第12回メフィスト賞受賞作。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
284
ロジックが複雑なのと説明が上手くないのが半々くらいで解決編が読みづらい。ただ、こういうストレートな新本格の青春路線は実はそれほど数がないので貴重なシリーズ。メイントリックは割と簡単に見抜けるが、途中、何度もああでもないこうでもないと繰り返されるロジック展開が面白い。主要メンバーは賛否両論あるが、後動とジョーマエは良い。咲さんも許容範囲。カケル君がアリスの劣化版(二浪設定必要か?)で鳴海とユイが痛キャラという感想。鳴海は後動とセットになる事で痛さがどうしても際立ってしまう悲しいポジション。でもファン多そう2016/11/27
へくとぱすかる
88
3日がかりで読破。分厚さに圧倒されるけど、ミステリとして最高の出来です。解説のはやみねかおる氏が、「この『ドッペルゲンガー宮』で、初めて霧舎作品に触れた人は、すぐに他の作品を読みたくなる」云々と述べている通り、すでに2冊目の「あかずの扉研究会」シリーズも入手しました。細かいところまで配置された伏線には、驚くほかありません。全力投球したデビュー作です。2018/01/11
ダイ@2019.11.2~一時休止
84
《あかずの扉》研究会その1。デビュー作。キャラがイイ。新本格を詰め込んだような作品。2014/04/04
aquamarine
73
再読でした。すでに熊の取っ手あたりで一度読んでるなと思い出したんですがもう止められず最後まで。クローズドサークルの内と外、阿吽の呼吸の探偵二人が素敵です。ずるい?いえ伏線も見事です。みなさんのレビューを拝見し、意外と評価が低い人が多いことに驚きましたが、そういえば初読の時は私もユイやカケルがうざかったなぁ、と(笑)。ラノベのノリは味として新本格の王道を豪快にぎゅぎゅっと詰め込んだという感じのこの本、当然好みは分かれるでしょうが、私は再読でも十分堪能しました。2015/07/23
セウテス
60
霧舎巧氏のデビュー作品です。本の厚みに構えて読み始めましたが、難しい事なく読み終わります。登場人物の個性がトンでもなく強くイラついたり 、殺人がおこっても全体が軽い雰囲気だったり、此で良いのかと疑問に思いますが、トリックもしっかりしていて、伏線や犯人のミスリードも充分楽しめました。ただ、特定のミステリーを読んでいる前提で話が進みますので、マニア向きの作品と言えます。作品名の割には芥川龍之介や科学知識と関係ないのも残念で、掘り下げて欲しい所ではありましたが、本の厚みとは裏腹にサクッと読みやすく感じました。2014/06/27