内容説明
“この道はどこへ行くんでしょうか”――偶然の邂逅から始まる若い男女の愛。その2年後の妻の謎の事故死。『武蔵野夫人』『花影』で新しい“愛のかたち”を文学史上に画した著者が、現代の市民社会とその風俗の中に、男と女、家庭、“愛の死と再生”のテーマを“連環”する10章で問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あにこ
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どこかのえらいこと熱心な書店の店長さんが講談社に直接掛け合って復刊させたとかいう話を昔聞いて、どれほどのものかと興味をもち購入に至ったのだが、言うほどのものではなかった。淡々と進んでいく物語。そうか大岡昇平ってこんな感じか。当時の風俗を通して恋愛を描写しているようにも、恋愛を通して当時の風俗を描写しているようにも思える。第二章みたいな可愛い語り口はとても好き。2014/06/12
Salsaru
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複雑にしなくてもいいものを、そうして苦しむのだろうか。2013/06/24
kaori
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・結婚の幸福とは、要するに縛られる幸福ではないだろうか。 ・年寄りのすることは、みんな間が抜けて見える。それを笑うのは、青春の特権らしいのである。 ・ロミオとジュリエットの悲劇は、突然知った恋の情熱に、若い恋人達が適応を誤った例といわれる。 ・結婚は異性がセックスによって結びつくのとはまったく違う根拠に立った行動なのだ。 ・結婚の幸福とは、感覚的に見るならば、快感原理に基づく性の攻撃性が、相互の寛容によって、緩和な協調に中和されることにあるといえる。
Shinichirou Zama
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この小説のタイトルの意味は、ラストの場面で分かります。『この道はどこへ行くんでしょうか』という冴子の言葉から始まる物語は、優しい導入と反して登場人物の様々な人生を知るにつれ、可哀想な境地へ連れていかれる。 ラストだが、自分だったら哀しみに暮れて、酒を煽っているだろう。2019/09/17
パリスお布団
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もう!どうしてこう大岡の恋愛小説にはクズがつくだにになって出てくるの!自分勝手なクソ男やその被害者たるかわいそうな女の子が出てきてはカーチェイス大爆発を繰り返すSFファンタジーありパロディありのショートコント集だよ!なんとオチにはスペシャルゲスト・あの古典のヒロインが登場だっての!やかましいわ!読み返しません。2018/12/11