創元推理文庫<br> 深夜の市長

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創元推理文庫
深夜の市長

  • ISBN:9784488446147

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内容説明

昼とは全く別の姿を見せる真夜中の東京“大都市T”。奇怪な人々が闇に潜む不思議な都市を支配するのが、謎の老人・深夜の市長である。ある晩の殺人事件をきっかけに、彼の存在を知った僕。果たして深夜の市長の正体は? 傑作都市ミステリ「深夜の市長」。祖父とも思う資産家の老人が亡くなった後、少年が取った行動が予想外の事態を招く「仲々死なぬ彼奴」。人間の興奮をグラフにした“興奮曲線”によって、殺人犯を特定した博士が陥った悲劇を描く「キド効果」など珠玉の11編を収録。日本SFの先駆者にして唯一無二の奇想で彩る作品を描いた著者の真髄を示す、傑作ミステリ短編集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おにく

30
海野十三氏は昭和一桁から戦後にかけて、主に推理小説や空想科学小説を発表した日本SF小説の始祖の一人と言われ、今では“青空文庫”でも数多くの作品を読むことができます。これまで青空文庫で“生きている腸”“宇宙女囚第一号”を読んで、夜店の見せ物小屋のような雰囲気にはまりました。時代を感じさせる「エイヤッ!ドタリ!」「ウワーン、痛いよ。乱暴な!」などの擬音やかけ声も微笑ましい。ただ、今回の表題作“深夜の市長”は夜の雰囲気は良いのですが、謎解きが単純で、個人的にちょっと物足りなかったかな。他の作品も読んでいきます。2017/01/14

kasim

22
「帝都」の無国籍でハイカラな雰囲気にしびれる。今はどこにもない都市の忘れ形見のよう。皆が畏れる市長をはじめ、夜だけ中庭に出現する塔に籠る科学者や十銭洋酒店の常連たちなど、夜の住人は皆魅力的。帝都を仕切る裏の顔と言っても市長は秩序の護り手だし、文章がさっぱりしていてノワール感はない(他の掌編には猟奇的なのもありますが)。解説の通り「本格ものでもSFでもないファンタジックなサスペンス」。タイトルが好き。「深夜の都知事」じゃ締まらない。2017/09/26

ヒダン

21
半分を占める表題作のあとにショートショートほどの短編がテーマ別にまとめられて並ぶ。ショートショートは最後に種明かしされてなるほどとは思うが、深い印象は残らない。SF的な発想はいくつか見られる。表題作はいろいろな要素が盛り込まれているのになんだかあっさりしてた。仮名遣いで『のらくろ』を想起したり、戦前の東京はこんな町だったのかと思ったり時代を感じるところが多い。夜の世界の住人はとても個性的で、それが最後に解散してしまうことに寂しさを覚えるのもあっさり感の要因かもしれない。夜はわくわくであり不気味でもある。2017/07/05

みつ

19
少年時代以来の海野十三。本書の半分を占める表題作は、「麪包(パン)」「天鵞絨(びろうど)」「燐寸(マッチ)」などの表記が文庫版でもそのまま残されているところにまず惹かれる。狭義の謎解きミステリとして読むと意味不明だが、いずれも怪しげな人物が次々登場し、戦前の東京とおぼしき街の猥雑で謎めいた雰囲気を満喫できる。作中に登場する雑誌『新青年』、『ぷろふいる』、『月刊探偵』などは、後半の短篇が掲載された『探偵』、『シュピオ』などと共に、かつて光文社文庫で読んだ。こちらは雑誌の印象そのまま、素人っぱい稚気に満ちる。2025/07/15

あき

16
★★★ 深夜の市長、後半は少し退屈でしたが、序盤で不思議な雰囲気にぐっと引き込まれました。2017/08/02

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