内容説明
プラグマティズムの最重要な思想家として、いま再び注目を集めるリチャード・ローティ。その政治的・社会的言説は、『哲学と自然の鏡』等の論著が提示する近現代哲学批判と通底している。彼の哲学は、絶対的真理にすがろうとする「客観性志向」を思考停止として疑問視し、自らを乗り越えていくための力として言語を捉え直した。ローティ個人と最も密接に交流のあった著者が、多面的な思想を平易明快に解説し、哲学史の系譜のなかで一つの筋へと繋げて見せる、決定版解説書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
21
非常に明快で、見通しの良い解説本です。本書がローティの思想の解説をしていないで、ローティが批判した哲学者の解説に多くを割いているという印象を持つとしたら、それはローティの思想そのものだからでしょう。著者がパトナムに手紙を送り、ローティを批判するパトナム自身が実は立場が近いのではないかと言ったことに対し、パトナムが『ローティに立場などない』と応答したエピソードが、端的に著者のローティの理解を示しています。3章では出自である分析哲学を、とりわけウィトゲンシュタインとの関係を明らかにしています。そこでは、ローテ2018/02/17
井の中の蛙
11
しばらく100分de名著『偶然性・アイロニー・連帯』のみでローティ理解について満足していたが、そろそろちゃんと読みたいということで本書を手に取った。生涯から、分析哲学に対する考え方、ヴィトゲンシュタイン・ハイデガー・デューイからの影響、ローティとロマン主義、政治的立ち位置について概観することができた。著者のローティ愛に溢れた本でした。2024/10/02
ゆうくん
6
ローティーのいう「連帯」とはなんなのか? この一番重要なディテールについての記述は少ないが 「連帯」に至るまでの「自然の鏡」としての哲学の批判の過程、「鏡なしの哲学」を志向していくとこは詳しい、いい入門書 主に、「言語論的転回」と「哲学と自然の鏡」が言及対象 2025/10/09
ひつまぶし
4
『連帯論』を読み、コミュニタリアニズムに関する本やサンデルを読んでいて、この流れでローティの連帯論を読んでいきたいと思っていたところで目にとまった。自分たちの今の考えから始めるしかないと考え(自文化中心主義)、それを連帯を志向する他者理解とともに更新していく立場はやはりコミュニタリアニズムと親和的であるように思われた。本書はローティの解説書でありながら、ローティ理解のために広く西洋哲学、西洋思想を学べる構成にもなっている。日本にこんな本が書けるほどのローティの直接の弟子がいたことは読者にとっての幸運だ。2024/12/28
愛楊
3
ローティ以外の哲学・思想に関する記述が多く、それぞれ易しく書かれている。筑摩選書の平均的な易しさ。ただ、この本の読者は背景知識となる各哲学者の思想はおおよそ理解していることが多いだろうから、ローティの主張に記述をもっと割いてほしかった。特にウィトゲンシュタインの転回については、同著者による『ローティ論集』での「ヴィトゲンシュタイン・ハイデッガー・言語の物象化」の解題の方が見通しよく書かれていた。ただ、政治思想やロマン主義については梗概を掴むことができ、良かった。薄く広いローティ入門。2024/06/11
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