内容説明
夫に殉死した女優妻・松井須磨子、谷崎から譲渡された佐藤春夫の妻、精神錯乱の教師妻・杉田久女、夫に絶縁状を書いた華族出身妻・柳原白蓮、四回の人妻を経験した宇野千代。漱石、鴎外、鏡花、芥川の妻、そして与謝野晶子、林芙美子から幸田文、武田百合子まで、明治・大正・昭和の文壇を彩る53人。逞しく、したたかでパワフルな人妻たちの正体を描く、画期的な評伝集。『人妻魂』改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なる
42
嵐山光三郎による文人のエピソードを深掘りしたシリーズ。これまでのシリーズでは食事のことや葬儀での追悼文など作家本人にスポットを当てたものが多かったが、今回は文人の周囲にいた女性についてを53人を挙げている。男性優位の目線なので物議を醸し出すような内容とタイトルなものの、基本的に明治〜戦後の文人はその多くが奔放で、登場している女性はそれに振り回されている人が多い印象(中には男性を振り回す側もいるけれど)。ちょうどタイムリーに弥生美術館で谷崎潤一郎や竹久夢二の恋愛遍歴を展示しておりその差異も面白かった。2022/01/10
あんPAPA
27
著者の作品は初読み。ひと頃TV番組でよくお顔をお見受けしたものだが。10年程前の出版であるが、当時の著者の表現でも現在では女性蔑視でOUTになりそうに思えた。この間に、一気にフェミニズムが一般家庭へも浸透しているのだろう。しかし、嘗ての文人達の行動は島崎藤村を始めとして今なら一発アウトの懲戒免職という内容も多くあり、教師と女子生徒のイケナイ関係は昔からあったのだと云う印象。薄幸の女性も多いが、男を手玉に取り、奔放に生きる女性も予想外に多く、昔も今も男性に比べて女性の方が強かな存在のように私には感じられた。2023/10/27
fseigojp
26
悪妻と書かれているが、文豪たちを支えた良妻ばかり2015/09/30
kaoriction@本読み&感想リハビリ中
25
大好物の「文人」シリーズである。が、しかし。嵐山氏、一体どうした? フェミニストの方々が読んだら怒り心頭に発する表現、言葉の多いこと。そして、何より「らしくない」文章、文体、内容の数々。嵐山氏ご本人のエピソードを交えた悪妻は置いておいて、半分くらいはアシスタントが書いたのではないかと思うほどであった。首を傾げつつ読み、それでも、まだ読んでみたい、知りたい文人、悪妻に出会えただけマシか、と思い至る。明治・大正・昭和の文壇を彩る53人の妻たち。文人たちを支え、時に飛び越え生きた女たちのいかに逞しきことか。2019/09/04
井戸端アンジェリか
23
森 茉莉の本を読んでいたら、なんとなく母親が意味深そうなので、ああ、そういえば作家の妻の話を書いた本を積んでたはず!!と、寄り道読始。なんか違うぞ、思っていたのと違う。嵐山光三郎はよっぽど人妻がお好きなんだなぁ。団地妻がナンチャラって感じのエロ映画が好きそうだなぁ。色々イラっとするけど森 鷗外の妻の事はそこそこ分かったので、まあいいか。2021/01/22