内容説明
京都府北部、人口35,000弱の地方都市が〈地方創生〉の観点から注目されている。 『里山資本主義』の藻谷浩介氏も絶賛する、その理由とは?
綾部の魅力、潜在力を、『1』行政の取り組み(水源の里条例や世界連邦都市宣言など)『2』綾部発祥、グンゼの創業者・波多野鶴吉の人づくり『3』やはり綾部発祥、日東精工の地域貢献(絆経営)4新しいライフスタイル「半農半X」といった視点から取り上げ、地方創生――人づくり、モノづくり、街づくり――という点で、綾部から学べるものを紹介する。
『里山資本主義』や『デフレの正体』などのベストセラーを著した藻谷浩介氏も、「綾部は世界のどこに出しても胸を張れる全国でも数少ない街。ここに日本と世界の先端があります」と推薦している。人口35,000にも満たない小さな都市が、なぜここまで元気なのか――3世帯四人しか暮らさない集落に年間3,000人以上が訪れる理由。四つある綾部市の第三セクターすべてが10年以上黒字基調の健全経営、グンゼと日東精工、東証一部上場企業がなぜ今も綾部に本社をおいているのか――といったことを掘り下げていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
警蓮社峻譽身阿
15
地方創生の事例として京都府綾部市を紹介する。とはいえ綾部には100年以上前から地方が活性化する素地があった。現在人口35000人程度だが上場企業が2社あり(グンゼ、日東精工)、合気道発祥の地、大本教本山、「水源の里」提言地など、経済文化行政などで規模に比して存在感を示す自治体。グンゼや日東精工の社史や社風の紹介と共に如何に綾部が素晴らしいかという内容。悪い点への言及がないので食傷気味。2024/04/07
おおかみ
11
藻谷浩介が「日本と世界の先端」と絶賛する、人口3万5千人弱の小さな地方都市・京都府綾部市。上場企業のグンゼ、日東精工はなぜ今もなお綾部に本社を置き続けるのか、全国に広がる「半農半X」はなぜ綾部から始まったのか。綾部の魅力にとことん迫った一冊で、地方創生モデルとして興味深く読める。ただ、綾部については確かに解ったものの、それでは他の自治体と何が決定的に違うのかというと些か不明瞭で、応用するには物足りないか。残念ながら北陸新幹線の舞鶴ルートは露と消えた。2016/12/21
koji
10
偶々図書館の新刊棚で手に取り、一気に読みました。綾部市に関して語れるほどの知識はなかったので新鮮でした。まず驚きは、人口3万5千に満たない京都の小都市の物語で1冊本が書き上げられたこと。そのエピソードも中身が詰まっています。「善い人が良い糸をつくる」グンゼ、「ゆるみ止めねじ」の日東精工だけでなく、水源の里、半農半X等、更には綾部のAtoZ。綾部の凄い所は、一過性で終わらせるのではなく続けること。確り考えて地道に取組む善き風土があるのですね。私の心の書「邪宗門」の舞台でもあり、一度じっくり訪ねたいですね。2016/11/17
葉
3
綾部駅は田舎に帰省する時に通過するくらいで滅多に下車しない駅だ。この本を作るきっかけとなっとのは、筆者の父が日東精工の社内人財教育テキストの編集を手伝っていたことから始まる。綾部市の市長はアメリカに行ったことで綾部の良さを知ったとのこと。高齢者が希望すれば、小学生などがボランティアで手紙を送る試みは面白いと感じた。女性きらめきプロジェクトを行っているグンゼは非常にユーモアな活動で、綾部の街に根付く良さがある。地方にある企業の強みは一致団結があるという日東精工。優良企業がある綾部市が地方創生の鍵となる。2018/06/05
Yakmy
3
綾部が舞台ということで手にとった本。大筋は綾部礼賛だ。副題が『上場企業と「半農半X」が共存する魅力』。筋立ても、綾部の町の特徴や人の気質、そして上場企業のグンゼと日東精工の創業の話や経営における綾部との関わり。半農半Xは、塩見直紀さんが提唱した運動というか試みというか。目立った特徴はないが、人口3万8千人という街に上場企業があるのは不思議だし、半農半Xの試みも斬新だ。知らない人が知るにはいいけれど、そういう物語を知っている人には物足りない。2017/02/03