内容説明
清酒を造ったのはあの山中鹿之助の息子だった!
尼子一族を支えた猛将の息子は、仕官の誘いを断って商人の道を歩む。
日本を代表する鴻池財閥の始祖が清酒の醸造に成功するまで。
山陰尼子家の忠臣山中鹿介の息子でありながら、叔父に育てられた新六は、父を知らず尼崎で成長する。
父の死後、武士を捨て、幼馴染のはなとともに商人として生きる道を選ぶ。
とある出来事から新六改め新右衛門は新たに酒造りを始めるが……。
豪商鴻池の祖となる男の波乱万丈の生涯を描く傑作歴史長篇小説。
解説・島内景二(国文学者)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
52
1人の人間の物語と言えますね。武士でありながら、武士を捨て、商人としての道を選び、幼なじみのはなと生きていく。穏やかでもあり、波乱万丈でもあるその生涯に浸るのが心地良かったです。2020/11/19
あかんべ
10
吉川永青の天下なんぼやと比べてしまった。清酒を作るところで吉川氏は敵対者に陰謀で偶然出来たとしたが、小前作品では主人公の努力によるとしていた。どちらが本当かなんてのはどうでもよく、吉川作品はドラマチックでおもしろく、小前作品は真摯に努力する主人公の姿勢が美しい。どちらも考え方も生き方も戦国時代において珍しい人であったんだろう。2017/01/19
ポニョ駅長
2
山陰の名家・尼子家の復興に生涯を捧げた山中鹿之助 彼の息子、新右衛門は素質に恵まれ、大名家からの誘いを断り商人として身を立てる決意をします。 酒造りに辿り着き、鴻池流を築き上げますが、時代・モノづくり・グルメと多彩な要素があり楽しめます。2016/12/23
レフ
1
商人と武士の身分移動で中国地方というと「涅槃」の宇喜多直家がニアミス。2024/05/10
Crystal.B
1
「天下、なんぼや」がおもしろかったので、こちらも読んでみました。「天下」と較べると淡々としていましたが、時代背景を思うと納得できるところもありました。幼馴染みで勝ち気な妻とのやりとりは朝ドラみたいで、これにはちょっと違和感がありましたが、創業者の糟糠の妻の典型はこんなタイプ?どんな世界でも組織のトップは孤独なので、こういう嫁が必要なのかもとも思いますが。山中鹿之助には娘しかいないという説もあるそうですが、まぁ、どちらでもいいことにします。2018/07/01