内容説明
450万もの人が国を追われる――泥沼化する難民危機の「最前線」で、いったい何が起こっているのか? 『ガーディアン』紙初の移民専門ジャーナリストが、シリアからスウェーデンまで3大陸17か国をともに歩き、EUの分裂、ISISの台頭、相次ぐテロにつながる問題の本質をあぶり出した迫真のノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
106
英国の若手ジャーナリストがシリア難民に同行し、その真実をルポ。◆2010年末にチュニジア、エジプト、リビアで始まったアラブの春は、2011年にシリアにも波及する。アサド政権の対応に反発した反体制派のデモは拡大し、内戦へと発展。これを機に400万人の難民が生まれた。/本書ではシリア難民のひとりハーシム・スーキの旅路をたどり、祖国を捨てることへの苦悩、難民に群がる金儲け主義者、出国先での扱い等、報道では分からない部分が伝えられる。◆なぜ命の危険を侵してもヨーロッパに向かうのか?「他に選択肢がないからだ」2020/07/10
どんぐり
72
ガーディアン紙初の移民担当記者が欧州に向かうシリア難民を追ったレポート。岩波新書の『ルポ難民追跡 バルカンルートを行く』(坂口裕彦著)と比較すると、取材範囲が広く、考察力もあって、いま最も読むべき本といえるだろう。ハーシム・スーキという一人のシリア人の物語を縦軸に、難民危機全般を横軸に置いた構成で、シリアから、「第2の海」サハラを越える砂漠ルート、リビアやエジプトからの「浮かぶ棺桶」といわれる密航船による地中海越え、またトルコやギリシャから欧州に至るバルカンルートをたどっていく。シリアやエリトリアからの難2017/03/15
BLACK無糖好き
18
ヨーロッパの難民危機の中核をなすのは、戦争や宗教的弾圧を逃れてきたシリア人やイラク人、アフガニスタン人で、中東の紛争が終われば難民の流入は衰えるだろうが、そんな奇跡的な事が起こったとしても、エリトリア人やニジェール人、セネガル人がヨーロッパを目指すのを止める事はできないだろう、との著者の指摘が一番印象に残った。西アフリカから危険極まりないサハラ砂漠を越え、リビアで搾取され密航船で地中海を渡りイタリアを目指すというルートの過酷さに言葉を失う。国境に壁を築いたところで何の解決にもならない。無力感に包まれる。 2017/01/25
ロビン
16
英国「ガーディアン」紙初の移民専門ジャーナリストである著者が、故郷シリアでアサド政権に逮捕・拷問された経験を持つ難民のハーシム・スーキさんが海と陸地の過酷な長い道のりを経て、シリア難民に永住権を保証するスウェーデンに向かう旅に同行して書かれたレポート。難民に高い料金をふっかけ、殺人的な定員オーバーの船に彼らを押し込む密航業者、難民流入を厭うヨーロッパの政策などの間で、NGO やボランティアの方々の人間的で英雄的な態度には感動を禁じ得ない。難民の方々がどんな生き地獄のなかにいるかを知るのに非常に優れた本。2023/06/08
ののまる
16
良書です、是非!ガーディアン記者によるバルカンあるいはリビアからの地中海ルートなど多岐に渡るシリア(アフガンや他の地域も含む)難民の避難ルポ。密航業者の実態も。多くの人々が高学歴で全財産を持って家族を連れて逃げてくる。欧州のお粗末な難民政策(劣悪な日本の状況に比べたら天と地なのだが)のために、ぼったりの代金を密航業者に払いおんぼろゴムボートで地中海に沈んでいく。それでも欧州を目指すのは、それしか生きる選択肢がないから。戦禍をくぐり抜け、何もかも失ったいま、自分や家族の命以外もう何も残されていないのだ。2016/12/05
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