内容説明
弱い者いじめに苦しむ中小企業にとって新銀行は救世主になるはずだった。“必殺仕掛人”の金融コンサルティング会社社長の野心に警戒しながら、設立に身を捧げる男たち。だが金融庁対策、資本金調達で困難に見舞われ、当初の理念は地に堕ちていく。経営陣の逮捕まで招いた「許されざる者」たちの罪業を描き切る傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
278
書店がやっていないので、本棚から未読のものを漁っていたら出て来た本。著者の他の代表作にあるような、老害トップと正義感ミドルの丁々発止かと思いきや、主人公大塚が優柔不断で、要所で流されてしまうから、いまいち歯切れの悪い作品になってている。元ネタに即して構成すると、こうならざるを得ないのかもしれないが、高杉流の好ましい人物像に仕立てられているだけに、局面ごとに悪手を差してしまう様子が、失望感だらけ。ダブル主人公かと思っていた倉田が途中から全く登場しなくなるのも、もう少し上手く絡ませられなかったのかと感じる点。2020/04/30
誰かのプリン
16
創業当初の理念が途中から忘れられ、最終的には自分自身の欲を満たした結果破滅へと転落する。 本書はフィクションですが、類似ケースが有ったとの事が巻末に書かれていた。そう言えば、テレビで国会喚問していたな~。2019/03/25
ミツヒデ
5
高杉良氏は日本振興銀行設立の構想について「新銀行が設立されたとして、その末路は不良債権を積み上げて破綻するか、商工ローンと同質化していくしかないだろう」と喝破していたという。 小泉、竹中、木村の増長が国民の血税と預金者の資産の毀損を招いたことへの痛烈な批判の一作と思う。 2014/08/22
藤澤謙光
4
なんか久々の高杉作品 破壊じゃなくて破戒ね… 男のプライドって、仕事には邪魔だなぁ〜って改めて思った2015/05/05
Wadachan
3
やり手のワンマン経営者の下では、いかに信念と理想を持っていても手詰まりになってしまうのかなぁ、と思わされました。この話の結末を回避するために、この主人公が選べた道は「退職」しかなかったように思います。2019/04/20