内容説明
病院で死ぬということは、懸命な治療の結果として亡くなるということ。自宅で死ぬということは、住み慣れたわが家で家族に囲まれ、家族の一員として亡くなるということ。それでは、介護施設で死ぬとはどういうことか。介護施設という、当事者以外はなかなか知り得ない現場の実際を、早くからターミナルケア(終末期ケア)に力を入れてきた著者が、赤裸々に語る。終末期の入居者と家族を通して考える看取り方。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
63
【人は誰でも死にます。そして、死に場所を選ぶこともできます:施設で死ぬということは、職員との人間関係をもって、ただひとつの“私”の名前で見送られるということ】介護施設の実際を紹介し、終末期の入居者と家族を通して親の看取り方を考える書。8件の事例も収録。著者は訴える。<介護の“毒”は孤“独”です。周囲の人に関心をもってもらえない介護の中にある家族や職員は、孤独の中で疲れ果ててしまいます。ぜひ、施設でのターミナルケアがどんなふうに行われるのか、職員はどんな思いでお年寄りに接しているのかを知ってください>と。⇒2023/11/21
ふぅわん
52
生まれる場は選択できないが死に場所は選択できる。自分、家族の最期は何処で迎えるか考えたことはありますか。子は誰もが親の老いを考え、いつか親を守る立場になる。ターミナルケアを決めていても、いざ現実になれば誰でも迷い選択した事が良かったかは葛藤する。救急車を呼ぶか呼ばないか、胃瘻経管栄養の選択、何もせず自然に看取るか、歳を重ねる事に向き合う時期が必ずくる。お年寄りの方は、最期はもちろん誰でも家がいいと思うが、家族に迷惑かけたくないという思いが行き交う。年を取れば人は自分の生き方を振り返ることが増えるもの。2019/03/16
バニラ風味
26
もう長くはない、という親族がいたら…。義母を介護した経験がありますが、介護施設の方の考え方や、対応に驚いたり、頭が下がる思いです。でも、1人の人間として対等に向き合うのって、大変なことですね。どう死にたいか、ではなく、死ぬまで、どう生きたいか。と考えることが大切だと、教わりました。2017/01/25
にゃんこ
24
施設で働く者として、そして何より一人の人間として避けては通れないターミナル。 施設毎にやり方・考え方は違うから、ここでの紹介例みたいなケアがどの施設でも出来るのかといわれれば、それはNOとしか言えないのだけど… それでも、とても勉強になりました。 これは何度でも読み直したいと思います。2017/02/27
フクミミ
15
病院に運ばれると臨終間際でも治療されるという現実。病院で亡くなる事、介護施設で亡くなる事、この違いが良く解りました。紹介されている施設のように素晴らしいスタッフが揃っているのがスタンダードになって欲しいと思います。(そのためにも福祉で働く人の待遇の改善を望みます)2017/01/24