内容説明
記憶の片隅から、忘れえぬ情景や深い感情がよみがえる――浅草での幼い日々、父母や早世した四人の兄、大学時代に出会った寺山修司、木下恵介の助監督を務めた松竹大船撮影所の思い出、愛読する書物の数々……。「岸辺のアルバム」「想い出づくり」「ふぞろいの林檎たち」など名作ドラマを世に送り出した著者が、苦く切ない記憶とともに自身を静かに回想する。小林秀雄賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
だんぼ
249
「根府川と真鶴の間の海の あのすばらしい色を見ると いつも僕は 生きているのを嬉しいと思う」あああ100円本 あしたの月曜ゴミ出しに出そうと思った本でした でも このくだりが印象的で 今すてるのをやめました2024/04/28
もりくに
78
テレビが今より少しは「まし」だった3~40年前、山田太一さんや倉本聰さんや市川森一さんが力作を発表していた。私は山田さんが一番しっくり。この本は彼が70代、季刊誌に連載したエッセイの全て。「月日の残像」というタイトルは、過去だけはたっぷりある歳になったという意。「映画の周りで」は、叔母さんと 二度見した映画の話。「はじめ見た時よりもずっと良かった」という彼に、「嘘よね。見た映画をまた見るなんて。そんな人はいないわよね。嘘よね。」。一度見たから見ない人と、何遍でも見る人と。私は何遍派。本もそうしたいのだが2022/05/24
こばまり
58
静かで慎重なのにドキリとするようなことが書いてあり、もったいなくて毎朝ちびちびと頁をめくった。読みたい本も増えてしまい、それが悉く今更ながらの名著で「おまえの読書には背骨がない」と父の呆れ顔を否応なしに思い出す。2021/01/31
ぶうたん
10
滋味あふれるエッセイ集。著者が木下恵介の助監督をしていた頃のことも取り上げられており、その後の脚本家としてのことも併せて、映画やドラマに関連した挿話が多いように思う。さまざまな人物が登場する中では、著者が寺山修司の知己とは知らなかったので、扱われるのは一編だけだが印象深い。テレビドラマだとなかなか難しいものがあるが、著者の過去の映像作品にも触れてみたいと思った。2022/05/08
nnnともろー
9
数年前のエッセイ集。内容は多岐にわたる。この方の小説も読みたくなった。2018/02/05